第113話 いつものホットミルク

文字数 862文字

「これ暖冬って言うのかしら?」
 天気予報はどんどん難しくなっている。

「鱗雲が出た翌日はきちんと雨が降りましたわ」
 その時の天気は晴れ予報だったにもかかわらず。

「雨が三日も降ったら死ぬと言われてる業界だが、どうしようもないから休むしか無いな」
 お洒落なてるてる坊主も見掛けるようになった。

「寒いときにしか味わえないものがあるからね」
 天気の悪口は言わないようにしているメシヤ。

「あったか~い飲み物が美味しいから冬は好きだヨ」
 風の子なのか太陽の子なのか。

「ホットミルクとかホットウォーターをコンビニで見るようになったけど、フルーツジュースのあったかいのも意外といけるわ」
 マリアが飲むと絵になる。

「僕も思った。ミルクと砂糖が入ってる系統のフルーツジュースなら、あっためると美味しいよね」
 ペットボトルよりもカップ式自動販売機でたまに見掛ける。

「イチゴミルクとバナナミルクは鉄板ですわ」
 夏はこのツートップがペットボトルで並ぶ。

「興味深いな。冷たいペットボトルをあっためるだけだと、多分あまり美味くない」
 COLDとHOTで微妙に成分が異なる。

「アイスだとカフェインの量が少なくなるんだよ」
 であるからして、すぐ眠気覚ましに使うにはHOTを、一・二時間後に集中したいときはアイスをチョイスしよう。

「イチゴとバナナ意外に何かないかナ?」
 フルーツをあっためることに拒絶反応を起こす人は多い。

「順当に行くなら、リンゴかしらね」
 あたたかいアップルパイは人気だ。

「ただ、ミルクを入れるとなると微妙ですわ」
 味の想像が付かない。

「メシヤの好物にヒントがあるぞ」
 ハウスのロングセラー商品をイエスが置いた。

「フルーチェ!」
 レマが柏手を打った。

「ピーチにメロン、マスカットにマンゴー、グアバにぶどうにパインまであるじゃン!」
 御存じの通り、フルーチェは牛乳を混ぜて食す。

「これらの味が保証されたものなら、ホットミルクにしてもきっといけるわ!」
 遠のく思い出と一歩 近づいた現実を混ぜました
 甘いけど少しほろ苦い まぎれもないあたしと知って





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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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