第152話 靑ざめたる馬

文字数 733文字

「日本の快進撃が続いてるわね!」
 お祭り女・マリア。

「うん。おどろおどろしい開会式を見たときはどうなることかと思ったけど」
 メシヤが楽しみにしているのは、やはりサッカーだ。

「野球が無いオリンピックなど、トンカツの載っていないカツ丼だ」
 2028年のロサンゼルスオリンピックでは、野球が復活する。

「どうも日本に不利な判定が多い気がしますわ」
 審判の審判が必要だ。

「ボクシングも酷いネ」
 エリが代表選手なら、返り討ちにするだろう。

「柔道で谷落としをよく目にするようになったけど、このあいだエリちゃんがメシヤに掛けようとしてた技ね」
 オリンピックで言われているのは、どうもテキストの谷落としとは違うようなのだが。

「柔道の技はもっと豊富にあるから、そういう教本から探して自分の得意技に昇華させていくといいね」
 体操のリューキンは、阿弥陀ススムが披露していた。

「射撃もシティハンターさながらだったな」
 レマが出場したらどの選手も逃げ出すレベルである。

「一昔も二昔も前には信じられなかったことだわ。日本が世界の舞台でこんなに活躍するだなんて」
 お家芸と呼ばれる競技はともかく、大人と子供のような実力差を見せつけられてきた競技に置いても、伯仲している。

「選手村は食事が楽しみだけド、今回はヘルシー路線だからあんまりかナ」
 まるで自分が参加しているかのような言いぶりである。

「メシヤの出番だな」
(メシヤさまが裏方の役目を終えるのはいつになることでしょうか)

 第四(だいし)の封印を解き給ひたれば、第四の活物(いきもの)の『(きた)れ』と言ふを聞けり。われ見しに、視よ、靑ざめたる馬あり、之に乘る者の名を死といひ、陰府(よみ)これに隨う。

『聖にして(まこと)なる主よ、何時(いつ)まで(さば)かずして地に住む者に我らの血の復讐をなし給はぬか』





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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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