第132話 J-BOY
文字数 596文字
マリアは生粋のドラ党だ。
「ビジターでも中日への応援がスゴいよね」
パーフェクトヒューマン中田選手の加入が大きい。
「WBCでも思ったけド、日本人に一番人気のスポーツはやっぱり野球じゃないかナ?」
タオルを持ってシャドウピッチングをするエリ。
「あら、サッカーも絶大な人気ですわ。前回のワールドカップは大いに盛り上がりました」
日替わりでヒーローが生まれた。
「世界的にはサッカー人気の地位は揺るがないけど、国内においてはJリーグ中継が無くなったことがデカいよ」
Jリーグ創設時には、民放で試合中継が見れた。
「野球も似たような状況だけど、辛うじて地元チームのは見れるものね」
マリアは青い帽子もよく似合う。
「そうだろうな。試合そのものが身近に見れないんじゃ、興味も湧かないだろう」
代表戦だけ見るというのもなんだか淋しい。
「Jリーグで活躍した選手が日本代表に招集される過程を応援したいですわ」
レマが両手を合わせ握りしめる。
「日本代表戦で初めて見るケースが多いネ」
試合中継がないのだから無理もない。
「スタジアムに足を運ばせるためって意図らしいけど、サッカー人気と地域への貢献も含めて考え直してもらいたいなあ」
めし屋フジワラには『オフサイド』と『かっとび一斗』が置いてある。
吊り棚TVには朝ドラの再放送が流れていた。
「『虎に翼って』日向君の話かと思ったヨ」