第127話 ダウンタウンへ くりだそう

文字数 666文字

「竹ちゃんがいないとテレビがつまらんな」
 録画することもめっきり減った。

「神籬さんは活字派だと思っていました」
 武闘派と言いたいところだが。

「でも竹本さんもなんら恥じるところがないのならTV出演を再開してみてはいかがでしょう?」
 ああいう裁判は基本的に弁護士が法廷に出る。竹本氏に立証責任は無いし、堂々とTV活動をすればいい。あんな長期戦に付き合う必要は無い。

「サッカー選手の訴訟のように、アルファベットの匿名女子を訴えるのも手ですね」
 白々しいが、ニカルはすでに実名・住所を把握している。

「性的行為を強制されたというのは随分と強い言葉だな。これを立証するのは出版社側にある。提示できなければ、かなり重いペナルティがくだるだろう」
 前にも述べたが、不同意性交等罪施行前の出来事である。内心では同意していなかったという後出しを、この件で適用することは出来ない。それを主張するのならば、憲法を改正してからでないと通らない。

「ですので、争点はやはり無いんですよね。真実相当性云々と言っていますが、当時法に触れるとしたら、暴力行為あるいは脅迫で性行為に及んだ場合のみです。内心では同意していなかった程度の論拠では『強制』にはあたりません」
 一連の記事を書いたことによる民事の損害賠償が、いかほどになるか。

「竹本さんが復帰して嫌らしい質問が出たとしても、『裁判中ですので』と言えばいいだけですね」

「そうだ。記者は裁判官では無い」
 ここ数年間にみられる記者会見は、リンチそのものである。会見場は人を裁く場ではないし、記者に人を裁く権限など無い。







ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み