第96話 今、心の地図の上で
文字数 848文字
この物語では、15歳で自動車免許を取得できる。
「15から運転してるとは思えないくらい上手いよね」
いまだにレディース疑惑があるマリア。
「地図アプリのせいで方向感覚のおかしい人間が増殖中だ。電話で場所の説明をしたところで、たどり着けやしない」
現場の地図を説明するやり取りの多いイエス。
「わたくしたちも地図を見ることは多いです。スマホでは現在地が大きく映し出されて目的地との位置関係が分かりませんし、広域画面では離れすぎていて道路も確認できません」
作戦実行に使いますから、とは明言しにくいレマ。
「紙の地図ってサ。細かく書いてあるのはいいんだけド、この町とその隣町との境界が分かりにくいんだよネ」
エリは地図で難読地名を探すのが好きである。
「それなら
メシヤが自前の地図を広げた。
「わッ! これすっごくよく分かるネ!」
メシヤは地図の専門店に行くくらいマニアである。
「地名だけ聞いたことがあってもどの辺りにあるのか分からなかった場所が、ハッキリするわね」
北海道の白地図を見るのも面白いだろう。
「自分の住んでるエリアでも、知らないことがあるもんだな」
イエスは東海地方の白地図を眺めている。
「三重県が奈良と京都に隣接していることを知らない人も居るのでしょうね」
長野県は8県と隣接していて最多だが、1府5県と隣り合わせの三重は堂々の4位である。
「これ見ておくだけでモ、目的地を大きく外して迷うってことが大幅に減るんじゃないかナ?」
15の夜でも17歳の地図でもなく、15の地図である。
「電脳社会でますます家から出なくなりがちだけど、これは旅に出たくなる地図だわ」
食べ歩きの好きなマリアは、ひとつところに居られない。
「いまは高速道のジャンクションが複雑になってるし、こうやって事前にルートを検討するのが最善だな」
大冒険の前こそ、行き当たりばったりでは路頭に迷う。
「塗り絵をする前に色のコンビネーションを考えるみたいで、楽しい作業だよね」