第26話 ドッグ・ファイト

文字数 805文字

「世間の評価が低い食べ物ってあると思うんだよね」
 メシヤの作る料理は絶品だが、ジャンクも好む。

「あんたって偏食のケがあるわよね」
 マリアは義務感からでは無く、自然と健康的な食べ物を好む口である。

「どれのこト?」
 食いしん坊なのに禁忌の食べ物が多いエリ。

「コンビニにも売ってるアメリカンドッグだよ」
 豆腐屋さんにも置いてある。

「美味いよな。俺も好きだぜ」
 一瞬レマがどきっとした。

「中身がソーセージですので、わたくし達は残念ながらというところです」
 レマ、魚肉ソーセージもあるぞ。

「でもさ、あれって生地がパサパサなことが多くない? ソーセージもお肉屋さんのと比べるとだいぶ劣る感じがするわ」
 レジ前でせがまれても、ほっとこうな。

「ところがさ、この生地とソーセージに力を入れてきてるところもあってさ」
 それを両親が遠方で食ってさ。

「バウムクーヘンかってくらいの生地に粗挽きソーセージがくるまってるやつだな。それを揚げてるんだから美味いに決まってる」
 解説御苦労、イエスくん。

「食べたくなるじゃン、イエス!」
 胸ぐらを掴まれそうな勢いだ。

「だからさ、こういう食材をお国柄に合わせて変えれば良いんだよ。中身がイカ焼きでもビフテキでもいいし」
 成功するかはともかく、試さないことには栄冠を掴めない。

「串焼きっていい文化よね。手を汚さず食べ歩きにも向いてるし」
 BBQの串焼きはなぜあんなにも幸福に映るのだろう。杭芯棒バンザイ。

「一本の串に肉・魚・豚・鶏・野菜とバラエティを持たせられるし、栄養バランス的にも優れてるよね」
 お子さんが食べるときは安全にご注意を。

「三色団子がありますが、和菓子を色々組み合わせることも出来そうですわ」
 赤福・わらび餅・みたらし・大福・食べるほおずきを組み合わせた5連串も可能だ。

「作るのが大変だけド、それを商品化しようとチャレンジする人は尊敬しちゃうナ!」
 メシヤへのチラ見を怠らないエリ。



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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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