第126話 ヒロシアズマのつまらない話

文字数 713文字

「先輩、森末さん呼んでくださいよ~」
 いまは沖縄に居るらしい。

「お前、またつまらせたの?」
 あまり言うとセクハラになる。

「ボッ、ボクじゃないっスよ! 店の多目的トイレですよ!」
 おまるがアヒル型だったりするが、大人のトイレもそういう色んな形があって良さそうだ。

「スッポンの出番だな」
 ラバーカップとも言う。

「ス、スッポン?」
 なぜか自分を抱きしめている。

「キョン子、スッポン使ったことねーの?」
 やはりお嬢様だねえ。

「あの、コントとかでは見た記憶があります」
 いや、普通に学校のトイレにもあるはずだぞ。

「トイレが詰まったくらいですぐ森末さん呼んでたら、大変だぞ」
 水道業者も嘆いている。

「ボクもこれ使いこなせますかね?」
 いい心がけだ。ラバーカップを使えるようになってから、人生の攻守交代が始まる。

「簡単だぞ。ちなみに、洋式トイレ用と和式トイレ用があるから気をつけてな」
 大抵は先っぽをキュポンと伸ばして洋式型に変形させるタイプのが出回っている。

「え、触るんスか、コレを?」
 なんのためのゴム手袋だよ。美人の住まいが散らかりやすいって法則も、汚れ仕事をやりたがらないからなんだよなあ。

「勇気要りますね」
 いま、キョン子は勇者になろうとしている。

「ふと思いついたんだが、ドラクエでおなべのふたってあるだろ? その並びでスッポンは剣として使えるんじゃないか」
「それはきっと魔王も震え上がりますね!」
 
 そういや昔見たアニメで、便器に流されて異世界に行ってしまうキレキレの番組があったな。

「先輩、こんな感じっスかね」
「その調子だ」

「あ、水が減っていって具合良さそうです」
(アーメン)

「ぎやあああああああ」
「呪われし者よ、出て行け!」




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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