第69話 持ってけ泥棒!

文字数 649文字

「粋な商人言葉だけど、ホントの泥棒はとっちめないと駄目よ」
 マリアは警官も向いているかも知れない。

「世界平和、人類みな兄弟とはいっても、犯罪行為は取り締まらないと」
 そんなものを許すのは優しさでも無いし、それが差別主義とはとんでもない言いがかりだ。

「警察官も外国人の犯罪だと及び腰になってる風に見えますわ」
 治安を守る警察官が暴力を振るわれ為す術がないのでは、政治の怠慢である。

「出入国管理及び難民認定法が改正されたばかりだが、その前でも24条の退去強制事由に該当するケースはいくらでもあったはずだ。それを知ってたらあんな行動には出なかった外国人も、中にはいたかもしれない」
 暴行や略奪を野放しにしたままで、いったいどうやって秩序を保ち、海外友好を深めることが出来るのか。

「あとはサイバーテロだネ。海外にいながらにして日本を攻撃してくる不埒者をこらしめないト」
 サイバー犯罪条約が、2001年に採択された。

「批准してないところもあるんだよね」
 迷惑メールが毎日山のように届く。

「不正アクセス禁止法があるのに、国内でもけっこう暗躍してるわよね」
 罰則もかなり重い。ほんのできごころで・・・などと幼稚な理由で人のアカウントにログインしたら、お縄にかかる。パスワードを聞き出すことも抵触する。

「こんなの、迷惑メールとかたどったら、いくらでも防げそうなのになあ」

(メシヤさま、それらが放置されてるのは致し方ないことなのです・・・。思わぬ組織にたどり着いたとき、メシヤさまといえども平静でいられるでしょうか)





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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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