第124話 重力、仕事をしろ

文字数 709文字

「パリオリンピックでブレイクダンスが始まるわね」
『ハラッパーの真ん中で』はいつブレイクするのだろう。

「俺も出たいなあ」
 出たがり目立ちたがりのミドル。

「ヒッショー。スーパーマンが野球選手になったら、ゲームが成り立たないよ」
 どちらかというと孫悟空だ。

「それにミドルは磁気浮上能力があるから、反則だぞ」
 そのせいか、肩凝りとは無縁のミドル。

「いやいや、世界にはスゴい人らがいるからな」
 白馬の分身術を思い返す。

「あたしね、ブレイクダンスは床以外もやったほうがいいんじゃないかなって思ってる」
 道場のポールを使って演武する、リトルプリンセス。

「ほお。ポールか」
 ススムが逆向きで登り始めた。

「消防隊ならラクショーだね」
 鯉のぼりを決めるキョーコ。

「ポールがありゃ技も増えるってもんよ」
 その内、器械体操との境界が曖昧になりそうだ。

「また手がくっついて離れないってオチは無しよ」
「鉄棒じゃねーから大丈夫」
 100人摑まってもびくともしない。

「なら別室へ行こうぜ」
 ウィルが設計したアスレチック場が完成したばかりだ。

 次へススム。

「え。ポールが1、2、3、4・・・52本もある!」
 キョーコは安産型だ。

「へへっ、面白そーだな」
 ミドルが目の前のポールを掴むと、勢いよく回転しだした。

「上手いもんね。猿並だわ」
「強いんだな、猿並は」
 ポールを次から次へと渡っていく。ポール同士を結ぶ、水平バーの箇所もある。

「バナナがぶら下がってるのはなんでだろ?」
 ポールで回転したポイントに、ゴールドのクリスタルが出現する。

「ウィル、おふざけが過ぎるな!」
 ミドルが息を切らしている。ウィルは悪びれる様子も無い。

「クルクルランドじゃねーか!」







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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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