第90話 復習するは、我にあり
文字数 1,105文字
マリアの字は気の強さが表れている。
「野球でも、守るより打ちたがるもんさ」
守備崩壊では、勝てるものも勝てやしない。
「記憶の定着ということで言えば、復習に重きを置くのが良いかと」
レマはたまに伊達メガネを掛ける。
「攻撃は最大の防御でモ、一番隙も出来やすいネ」
エリは隙を見せて後の先を取る。
「いかに勉強の過程を振り返るか、だね」
このメンバーたちも、ちゃんと勉強をするのである。
「新しいことをどんどん取り入れるのはいいけど、気が多い印象を受けるわね。ものになりにくいというか、定着率が悪いとでもいうか」
メシヤはただの多動症ではない。
「ブームの仕掛け人ってのはいるものだが、これを好きだって人間が徐々に増えていきブームになるのであって、流行ってるから好きになるわけじゃないんだよな」
逆は必ずしも真ならず。
「復習だと気が滅入りますが、自分の記録した手帳や日記、アイデア帳などを見返すのは楽しいものですよ」
見返すとちゃんと当時のことを覚えているのだが、忙殺されるとそのことも頭のどこかへ収納されたままになっている。
「スマホを見返すのハ、あまりないかモ」
それよりも新しい写真や動画を撮影する方に気が行きがちだ。
図書室や自習室では喋れないので、めし屋フジワラでの勉強会である。
「勉強ってさ、切っ掛けは独善的な動機でいいんじゃないかな。『なんて時代遅れな』って批判が幅を利かせてるけど、その先進的なものの考えで社会が良くなってるとはとても思えないんだよね」
現代が人類の成熟した究極型なのだとしたら、なぜこんなにも物価が高騰し、争いが絶えないのだろうか。
「家造りでも見てて思うぜ。なんだよこのチャチな作りはってな。知識人が野蛮視する中世日本の建造物のほうがよっぽど精緻だぞ」
オートマ化すれば人間が楽して粗雑なものしか作れなくなるのは自明である。
「イエスさまのおっしゃる通りですわ。道徳的にこうすべきだというのではなく、人間の活動までオートメーションに組み込まれて、クリエイティブな生き方からは遠のく一方です」
「生活のためのday jobと、愛と夢のために生きるnight workは、分けて考えないとね」
昼働いて、夜は創作活動に。
惡をもて惡に報いず、
愛する者よ、自ら復讐すな、ただ神の怒に任せまつれ。
『もし汝の
なんぢ
惡に勝たるることなく、善をもて惡に勝て。