第30話 寒い夏ね

文字数 746文字

「メシヤは出会った頃に感じた匂いがするネ」
 エリはたまにポエマーになる。

「臭いとか言わないでよ」
 趣味に熱中する人物は風呂嫌いだったりするが、メシヤは清潔好きである。

「スメハラとかなんでもハラを付ける傾向があるわね」
 腹が出ているのは、何ハラか。

「この暑いのをなんとかしてくれればそういう被害も起こらないだろう」
 暑くなった途端に様々な物質がオイニーを発する。

「食中毒も心配ですわ」
 めし屋フジワラも他人事ではない。

「宅配で食品を持ってきたのに不在だったなんてあり得ない話を聞くわね。腐っちゃうわよ」
 呪う居留守。

「暑さ寒さも彼岸過ぎまでなんて言うけど、まだ始まったばかりだからなあ」
 これから本当の夏が来る。

「前に氷とかミストシャワーとかって納涼法が出てたけド、他にないかナ?」
 アイデア出しは、脳梁の太いほうが有利だ。

「まあ危険を度外視して言えば、液体窒素式のフリーザーとかはあるんだよね。その仕組みを応用して低馬力で室内を冷やすことも可能なんじゃないかなって思う」
 これに関しては面白半分に試しては絶対にならない。液体窒素を使って酸欠する事故があったからだ。

「え、それって結構スゴいことじゃない?」
 もし実現したら、世界の空調システムがまるごと変わってしまう。

「温暖化なんて問題も無くなりそウ!」
 寒冷化しないか心配である。

「夏のグラウンドは地獄だぜ。地球ごと冷やして欲しいくらいだ」
 真夏の甲子園、素晴らしいプレーが繰り広げられるためにも。

「エアコンで温暖化が促進なんて話もあるくらいですから、皮肉なモノですわ」
 暑いのでエアコン→さらに暑くなる→なくなくエアコンを強くする→記録更新の暑さのスパイラル。

「熱中症、電気代が高騰なんて連日ニュースでやってるし、避暑の仕方は死活問題だよ」



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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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