第60話 迷惑メールバスターズ

文字数 614文字

「お前のメールボックスは、ずいぶんスッキリしてるな」
 この辺に几帳面さがあらわれる。ダダクサなやつは、未開封メールが1000件を超えていたりする。

「そうですか? わたしとしては至って普通なのですが」
 ニカルは部品を無くすのを嫌がるので、要らないゴミはすぐに捨てる。

「通常のメールより迷惑メールの処理に手を焼いてるよな、現代人は」
「迷惑メールなど、一網打尽にしてやりますよ」
 頼もしい奴だ。

「特定電子メール法があるにもかかわらず、一向に減らないよな」
 結構罰則が重いんだぜ。

「何も特別難しいことではありません。迷惑メールの送信者が正規のアドレスで送ってくることはまず無いですが、ヘッダには送信経路が残っています。それを元にプロバイダに連絡すれば、簡単に判明しますよ」

「ここまで野放しになっていたこと自体、不思議だぞ。この対策をするために、余計な投資を企業や個人はさせられてきた経緯がある」
 案外、ホシは表の世界の住人だったりしてな。

「まあなんにせよ、善良な市民が悪徳詐欺に遭うのは見るに忍びません。囮を使って正体を暴く方法もあります」
 セコい小金稼ぎなどせず、働けよという戒めである。

「おう、頼むぜ。お前がコマンドを実行すると、数日後に必ずニュースになる。大したもんだ」
「わたしは神籬さんがおっしゃらなければ、自分では思いつかなかったことが多々ありますよ」
 穴に逃げ込んだネズミを(いぶ)り出すには、これぐらい手荒なこともやらなきゃな。




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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