第101話 よろしく俺に中二ING

文字数 625文字

「なんか浮かない顔だね、マリア」
 調子の悪い日のほうが多くて、正常である。

「別に大したことないわよ」
 苦悩を最も隠す者が、苦悩に最も耐えうる者である。

「体調の変化とか気分が乗らないとかどうしてもあると思うけど、これってチューニングと似てるんじゃないかな」
 メシヤは中二病というより、小二病である。

「チューニングねえ」
 ダイヤルを捻る仕草をするマリア。

「そう。自分を変える必要はまったくないんだよ。その時々に応じたものに自分を合わせにいくとでもいうのかな」
 同調圧力という言葉があるが、他人を無理矢理変えるこのやり方を、メシヤは好ましく思っていない。

「こういうことかな。自分の好きな曲ってたくさんあるけど、いつ聴いても感動するわけじゃないわよね。その時の気分を晴らしてくれるような、あるいは寄り添うような曲は、相応しいタイミングがあるんだと思うわ」
 100点満点の解答である。

「それそれ! そうするとさ、嫌な気持ちが吹き飛ぶんだよね。どんな映画を観るだとか、どんなゲームをやるだとかにも、当てはまる考えだと思うよ」
 好きなものだからと、ダラダラ続けていやしないか。

「なんかさ、あの人に会いたいとか声を聞きたいとか、そんな気分もあるわね。これもコロコロ変わるかな」
 マリア心と秋の空。

「ウチの食堂だけじゃなくて他のお店で食べたくなるのはしょうがないし、豊かな食文化のためにも、そうであってほしい!」
 見たくもないミラーには、きっと泣いたお前が映っている。




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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