第101話 よろしく俺に中二ING
文字数 625文字
調子の悪い日のほうが多くて、正常である。
「別に大したことないわよ」
苦悩を最も隠す者が、苦悩に最も耐えうる者である。
「体調の変化とか気分が乗らないとかどうしてもあると思うけど、これってチューニングと似てるんじゃないかな」
メシヤは中二病というより、小二病である。
「チューニングねえ」
ダイヤルを捻る仕草をするマリア。
「そう。自分を変える必要はまったくないんだよ。その時々に応じたものに自分を合わせにいくとでもいうのかな」
同調圧力という言葉があるが、他人を無理矢理変えるこのやり方を、メシヤは好ましく思っていない。
「こういうことかな。自分の好きな曲ってたくさんあるけど、いつ聴いても感動するわけじゃないわよね。その時の気分を晴らしてくれるような、あるいは寄り添うような曲は、相応しいタイミングがあるんだと思うわ」
100点満点の解答である。
「それそれ! そうするとさ、嫌な気持ちが吹き飛ぶんだよね。どんな映画を観るだとか、どんなゲームをやるだとかにも、当てはまる考えだと思うよ」
好きなものだからと、ダラダラ続けていやしないか。
「なんかさ、あの人に会いたいとか声を聞きたいとか、そんな気分もあるわね。これもコロコロ変わるかな」
マリア心と秋の空。
「ウチの食堂だけじゃなくて他のお店で食べたくなるのはしょうがないし、豊かな食文化のためにも、そうであってほしい!」
見たくもないミラーには、きっと泣いたお前が映っている。