第134話 迷宮界入り
文字数 841文字
誰が得をするかで足がかりになる場合があるが、その線で洗っても不可解なことが多い。
「悲しいことに、凶悪事件も増えているな」
政治がらみと捉えれば陰謀論になってしまうが、一見関係の無さそうなものを装っているケースも、これまた多い。
「こんな時はコナンくんに推理してもらうに限るよ」
空想と現実は、時にごっちゃにしたほうが良い。
「分かりますわ。ミステリー小説でフィクションと思いきや、作者が実在の事件に挑戦しているものがあります」
その作品がリリースされたあと、難事件は解決した。
「つぶやきが捜査の糸口になったりとかネ」
実際、いちアカウントの一言が真犯人を突き止めたとしても、表彰されることは無いだろう。
「コナンくんが実際の事件を固有名詞そのままで扱うと支障があるからね。その辺は作者の腕の見せどころさ」
刑事事件に限らず、架空の舞台を設定して実在の紛争ごとを解決する試みが、小説では行われている。
「もめ事になにかコメントしちゃうと、その目論見が外れてることもあるじゃない? 無実の人を犯罪者扱いするわけだから、ニュース記事への見解で決めつけるような発言はマズいわよね」
この時に名誉を著しく毀損していたとしても、謝罪することもなくスルーするのが常だ。
(時代の寵児が一転して叩かれる場合は、注意が必要ですわ。先日も大々的に吊し上げにされたばかりです。それも一人や二人ではありません)
「メシヤには分からないかもだけド、わるいやつらがいるんだヨ!」
メシヤとマリアを白馬がどれだけ護ってくれているか、エリは喉まで出掛かっている。
「あんまり深刻に考えたくないかな。どこにチャンネルを合わせるかってけっこう重要なんだよ」
ネット上で連日バトルになるほど、リアル世界での男女仲は分断されていない。ネットの勢いで現実に発言を繰り返したら、途端に孤立して生活が成り立たなくなるだろう。
「それもそうね。あたしたちの貴重な人生を、BOT垂れ流しのコメントで汚染されたくないわ」