第99話 暗証に乗り上げる
文字数 1,130文字
いつものようにカードで支払いをするメシヤ。ハラパン世界では15歳で自動車免許を取得できるが、クレジットカードを作ることもできる。
「え」
持ち合わせが無いわけではなかった。
(××××って僕の暗証番号と同じじゃん!)
こんなことで喜ぶのは、メシヤくらいだろう。
ところで、暗証番号に読者諸氏は何の数字を使うだろうか。メシヤはかぶるのが嫌なのもあるが、防犯上パッと見でなんの数字か分からないものを使用している。それはゴロ覚えであったり物理定数であったりする。誕生日だと9999通りあるナンバーの内、3.66%しか使用しないので、おのずとかぶる率も増える。
「あの、どうかされましたか?」
まさかメシヤがこんなことで舞い上がっているとは、思いもしない。
「ああ、ごめんなさい!」
メシヤは親指以外の四本で、器用に暗証番号をプッシュした。した、した・した・・した・・・
気付くと、メシヤは天高く馬肥ゆる秋の空に居た。
「うわ~、これいつかあったパターンだな~」
参った表情の割には、どことなく嬉しそうなトーンだ。
前回は生年月日入力で生まれた年の桁をひとつ多くタッチしてしまったため、200世紀の未来へと飛ばされた。
「あの時よりはマシかなあ。あれ戻るの大変だったんだよ」
マリアに話したら、頬を思い切りつねられた。
「こんな綺麗な地球上で戦争が繰り広げられてるなんて、信じられないな」
メシヤは、三種の神器を
「ボウスハイトくんのご先祖様は、あの辺りから来たんだったね」
フランクフルトアムマインは、ゲーテの出生地でもある。
「心なしか、万里の長城も見える」
万里なのに千里眼とはこれいかに。
「エリとレマたちの故郷・・・」
裁紅谷姉妹は動乱のため、学校を休みがちになっている。
「日本はどのように見えますか?」
さびしかった雲の上に、真っ赤なレオンが湧いた。
「レオンくん!」
18世紀の軍服のように見える。
「そ、そうだね。日本は~」
息を呑むメシヤ。
「これは、夢ではありませんよ」
兄弟よ、
肉によれる
されど神は智き者を
強き者を辱しめんとて世の弱き者を選び、
有る者を
すなはち無きが如き者を選び給へり。
これ神の前に人の誇る事なからん爲なり。
汝らは神に
彼は神に立てられて我らの智慧と義と聖と
これ『誇る者は
「地球は、アホかった」