第130話 会話にならないわね
文字数 819文字
通称メガネ。名前はまだ無い。
「てことは、文芸評論の回か」
ホウキ頭。メガネのひとつ上である。
「『連載中のハラッパーの真ん中で』なんですが」
なぜかドキドキする。
「週3ペースになってきたな」
バッシュ・ザ・スタンピード意識した頭髪を搔いた。
「会話文が多いという指摘です」
この二人のやりとりもそうだが、チャットノベル化しつつある。
「第1部は一巻読み切りを想定していたからか、行動シーンが多かったんだがな」
日常編は会話文多め、四コマ漫画化しやすくなる。
「作者がどこかでコメントしていましたが、元々小説を読むのが苦手だったそうなんですよね」
そのため、長々と続く地の文を抑えめにして、ドラマのト書きのようになってしまった。
「それなら聞いたことがあるな。おそらくだが、松本清張の影響を感じるぞ」
小説ではあるが、会話文多めで、会話の後に心理描写や行動描写が続く。
「それは僕も思いました。内容は似ても似つかないですが、構造は同じだなと」
メガネはナノブロックを使い、ハラッパーの真ん中でのキャラを組み立てている最中である。
「まあ、会話文だけにならずに何かをやりながらという試みは感じるな。だが」
ごつ盛りをすするのを一旦止める。
「キャラクターの行動原理が不明瞭になって来た、と」
終わりなき日常を歩み始めている。
「そうだ。キャラクター造形は苦にならないようだから、思い切って短編を連発するのも手だな」
残り汁に栄養がある。
「短編と言えば、いくつか作品が合流したじゃないですか。あれをもう一度分けてもいいんじゃないかと」
群像劇というカテゴリーでもないし、むりやりくっつけた感は否めない。そもそもノベルデイズに移すにあたって、一話からアップするのが煩雑だったための措置である。
「ああ。カクヨムで放置されてる5作品は、それぞれ再スタートさせていいかもな」
マイフォークを洗って水屋に仕舞う。
「新作も待ち遠しいですね!」