第21話 誣告罪

文字数 1,021文字

「口を開けりゃ法的措置ってなんなんすかね、あれは」
 キョン子は妙に社会派なところがある。

「名誉毀損だから法的措置ってことなんだろうが、権限のある人物が失態をやらかしたときに、その釈明もなく批判されたからといって法的措置だ、なんてのは筋が通らないな」
 暴力行為や脅迫に対しては、堂々と法的措置を取れば良い。

「なんかもっとこう、言葉と言葉を戦わしてほしいですね。ドラマの脚本家でもこんなに同じ台詞のやり取りを書いたら、干されますよ」
 多様性は色んな人の意見を聞くことではなかったのか。

「相手を嵌めるための脅しになってるよな。虚偽告訴等罪(旧・誣告罪(ぶこくざい))になる可能性もあるぞ」
 俺は素行が悪かったから、趣味で六法全書を読んでたこともある。

「先輩、あんまり親御さんを泣かすようなことしちゃ駄目っすよ~」
 もう何年も顔を見ていない。

「この店にも訳ありのお客さんがよく来るからなあ。話を聞くと人生勉強になったりする」
 キョン子も堅苦しい家を飛び出したかったってとこかな?

「あの浜ちゃんもパチンコ浸りだったみたいっすね」
 上京して間もない頃のようだ。隣に未来のビッグスターが座っているかもしれない。

「ところでお前、ゴールデンウィークはどうすんの?」
 軽い気持ちだったのだが。

「え。先輩、ボクの休日の予定聞いてどうするつもりっすか~?」
 何をニヤニヤしてるんだ。

「いや、お前実家京都だろ? 帰らねーのかなって」
 こいつも親を心配させすぎだろう。

「京都っていっても隣っすから。いつでも帰れますよ。それよりプロミネンスが落ち着いたから、激混みっす」
 言う前に一瞬コケたのはなんだったんだ?

「先輩はどうするんすか?」
「俺は休む間もなく、パチンコ業界の次なるエンターテイメントを考えてるんだよ」
 ファミリー層を取り入れるにはいまの形態では不可能だ。健康ランドみたいなところで、子供も遊べて風呂に入れて、うまいもん食ってゲームできれば、人も集まる。

「へえ。いいっすね! ボクも考えましたよ」
 俺はどうぞと促した。

「ゲームをカジノ方式にするんですよ。高得点を重ねるとコインが貯まっていくようにしたり、ミニ競馬場やミニサーキット場があってコインを賭けれたり」
 そういや大昔のゲーセンには、10円玉を溝から落として増やしていくようなシステムの台が置いてあったな。イカサマ防止のために、アナログ方式の実機を使ったモノが望ましい。

「俺が言うのもなんだが、パチンコよりは健全かもな」


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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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