第98話 罰金制度に罰金

文字数 946文字

「ボクは吸わないですけど、先輩はますます肩身が狭いっすよね~」
 喫煙者は犯罪者かのような扱いを受けている。

「喫煙場所を限定したりするのまでは分かるが、やり過ぎ感は否めないな」
 適度な煙草は体内の毒消し作用があるとかそんな事実が発覚して風向きが変わらないだろうか。

「先輩は二十歳のくせに長年吸い慣れてる風なのはなぜなんでしょう?」
 余計なお世話だ。

「ただな。罰金って言葉は刑罰と行政罰の上での制度であって、民間人や企業が罰金を取るなんて物言いはちゃんちゃらおかしいんだ」
※減給はともかくな。これにしたってちゃんとパーセンテージが決められている。

『敷地内に勝手に停めたら罰金三万円もらい受けます』ってのも怒るのはもっともだが、一方的にそんな金額を徴収することは出来ない。法律家に聞いてみれば分かるが、やった行為のペナルティとしてはちと重い。

「煙草を吸っただけで罰金100万円とか取引停止とかってのもおかしいことになりますね!」
 これは優位な立場を利用したとして、逆に罪に問われる可能性があるぞ。

「近所のお客がぼやいてたが、ただ働きでイベントの手伝いをやらされるんだとさ。電気店でもメーカーの人間が駆り出されて問題になったことがあるが、下請法第4条第1項6号の明確な違反だな」
 ちなみに、これを断ったからと言って仕事を外すような行為も禁じられている。4条の1項と2項はよく読んでおくことだな。

「それならボクも聞いたことあるっす! その人は極端に工期が短いって嘆いてましたね」
「あまり知られていないが、建設業法が改正されて突貫工事のための短期工事発注は禁止になったんだぜ」
 建設業法第19条の5を読むべし。

「残業が一向に無くならなかったり、人手不足になったりするのはむべなるかなといったところです」
 このままじゃ死人が出たっておかしくない。長時間働いて裕福になれりゃまだしも、時間に追われて実入りがあれじゃ浮かばれねえよ。

「てなわけだが、キョン子も原付乗ってるだろ? 反則金には気をつけろよ」
 新しく買ったのかちょくちょく通勤に使ってるようだ。

「ボクも免許取り立てなんですが、これでもう10分長く眠れますよ~」
 は?

「お前、16なの!?」
 ※現実世界では16歳でパチンコ店に勤務することはできません。



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み