第52話 十方微塵世界(じっぽうみじんせかい)
文字数 521文字
「はいよ」
受領のハンコを押す。
「ん?
「先輩、それボクのっス!」
こいつ、職場に配送先を指定するなっての。
「お前、
バツの悪そうなキョン子。
「これはあれだな・・・」
キョン子がびくっとする。
「二つ名だな? 中二病のお前らしく」
「そそ、そうなんですよ! さすが先輩、よく分かりましたね!」
んなわけねーだろ。名家だとは聞いていたが、名門中の名門じゃないか。
「でも先輩の名前もそれ本名なんスか? ずいぶんシンプルですよね」
「わけあって
作品が合流してから、初めて俺の名前が登場したな。
「先輩のは通り名っぽいですね!」
こいつ、年上をおちょくり過ぎだろ。
「お前には教えてやるけど、俺の名字は
キョン子はスネかじりだが、俺はスネに傷があるってとこだな。
「お母さんのほうですよね? その名字」
察しが良いな。
「ああ。親父の名字はとても名乗れないし、東別院も目立ちすぎるから東って称してる」
妙な縁だな、まったく。
(『先輩のお父さんを知ってます』なんて言いたいけど、やっぱり言えないよね・・・)