第154話 異変のテレフォンナンバー #9910

文字数 703文字

「高速道路の渋滞情報が真っ赤っかね」
 長期休みの時しかドライブしない人もいるが、そうしたドライバーが初心者マークを付けたとしても特に法令違反という訳ではない。

「僕らも初心者だから気をつけないとね」
 ハラパン世界では15歳で自動車免許を取得できる。中学を卒業し、就職する若者にとって車は必須だ。

「ワッ! あれは危なイ!」
 エリが落下物を見つけた。みな直前で気付いて避けている。

「東名であんなもんが落ちてたら大惨事になりかねないぞ」
 踏んづけられるような小片ではなく、鉄の塊のような物体であった。

「わたくしが電話いたしますわ」
 こういう役目はいつもメシヤがするが、ただいまハンドルを握っている。

 レマが道路緊急ダイヤルの#9910をプッシュした。幹線道路で異常を発見したり故障したら、ここへ掛けると良い。事故なら110番か、非常電話を使おう。

「はい、はい。そうですわ。東名高速道路の上り、○○ICを超えて800メートルの地点です」
 レマが要領よく伝える。

「大きな事故にならなければいいけど」
 誰かがぶつかり、後続車も巻き込まれたら、お盆休みどころではなくなる。ハイウェイパトロールは間もなくやって来る。

 運転免許を取得してから何年も経ち、交通ルールの把握があやふやになっているようなら、落ち着いて教本を一読すると良いだろう。そうしたことは事故を未然に防ぐことと大いに係わってくる。

 煽り運転は一向に無くならないが、なぜ煽られているのかは知っておくと良いだろう。交通ルールを無視して危険な運転をすれば当然クラクションを鳴らされる。それで煽られたと訴える事例がこれまた多い。

「メシヤは超が付くほどの安全運転だネ!」





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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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