第110話 マカロン・ネソス(幸福者の島)
文字数 747文字
こう見えても、マリアの財布の紐は固い。
「5つそこで買っても、5回配送してもらわないといけないってのが、なんかすごくロスに感じちゃうわ」
「それはあるよね。一個欲しいだけでそのためだけに配達してもらうのも、悪い気がする」
キャンペーンの時の多大な苦労が、ひしひしと伝わってくる。
「いくら金を払っているとはいえ、ジュース一本で呼びつけるってのも気乗りしないな」
意外なことに、水中だとナマケモノの動きは速い。
「宅配ロボットが悪戯される動画も目にしますわ」
ロボットも可哀想だが、
「まとめて配送ってシステムもあるけド、なかなかまとめてくれないよネ」
出所が違えば、どうしてもそうなる。
「シオンみたいな大型のショッピングモールは、それが出来るんじゃないかな」
専門店でないと揃わないようなものならともかく、日用品ならシオンで充分である。
「そうだよな。食料品や消耗品の配達は、地域密着型のスーパーのほうが向いてるよな」
年配の方や移動手段の無い世帯は大助かりである。もちろん、不在の場合もあるだろうから、宅配BOXの設置が必要になってくる。
「スーパーの食材を買うなら商品を1点・2点ってわけじゃないだろうし、何円以上から配達しますっていうふうにすれば、お店側も利益を見込めるんじゃないかしら」
酒店の御用聞きや出前自体が消滅しつつあるのは、なんだか淋しい。
「高齢で一人住まいの方を見守ることにもなりますし、とても良いことだと思いますわ」
決して高価でなくとも、食べたいものを食べられる状況は、ゆたかな社会と言えよう。
(鷹山さんはメシヤに後を継いでもらいたいようだが、政治家にならなかったとしても暮らしやすい世の中に変えるのは可能なんだよな・・・)