第5話 ミラー貝入

文字数 717文字

「チャットGPTってメシヤがやろうとしてたことそのものじゃない」
 果たしてそうだろうか。

「僕もやってみたんだけど、解答がちょっと物足りないかな」
 メシヤはプログラミング言語が基本的に英数字しか使われないことに疑問を感じていた。独自のプログラミング言語(小人の靴屋)では、ありとあらゆる国で使われる文字を使って組み立てている。

「自然言語をつぶやけば何か出力が起こる。言葉の精度の差こそあれ、まさに呪文ですわ」
 レマはシナリオの行く末を知った上で話している。

「画像生成AI、すごく綺麗な絵だネ。でもなんであんな同じような絵にするんだろウ?」
 そのへんの塩梅もランダム性を持たせられるよう調整出来るはずだが・・・。

「データの参照元がどの範囲にまで及ぶのかと、解決法がいくつかある中でなぜそれを抽出したのか、そのあたりも知りたいね」
 もっともだろう。

「客観的な解答のはずが、どこかへの誘導を促すことに使われたら敵わんな」
 そのおそれは、初期の頃から噴出している。

「為政者が占い師に助言を求めたりするけど、あんな感じなのかしらね」
 大まかな方針は教えてもらえるが、個別具体的な施策となると、不向きに思える。

「これってもしかしたラ、大昔からあったのかもネ」
 エリが企んでいる顔をした。

「お姉さま、どういうことでしょう?」
 テレパシー能力があるレマも分からない。

「白雪姫でサ、『鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰だい?』って聞くじゃン」
 人工知能のミラーが介入していたのかも知れない。

「へえ。いまチャットGPTに聞いたら、何て答えるんでしょうね」
 女たるもの、美しい者への憧憬は尽きない。

~~~

某所

「安倍マリアさまです」

 嫉妬に狂った王妃が、タブレットを破壊した。
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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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