第139話 ポートマントーひとつで浪漫飛行へ

文字数 661文字

「勝手に言葉を作るななんて保守的な人もいるけどさ」
 読書好きなメシヤにとって、言葉は紙である。

「混成語って異質な食材の融合みたいで面白いと思うんだ」
 辞書をパラパラめくる。手垢とチェックだらけだ。

「かばん語ですわね。ルイス・キャロルが有名ですわ」
 鏡の国のアリスに裁紅谷姉妹が登場しても、違和感は無いだろう。

「へえ。こうして見ると最初からそういう言葉として出て来たんじゃ無いのね」
 とらまえるは、とらえる+つかまえるの混成である。

粘滑(ねばらか)なんて表現があるんだな」
 イエスも興味を持ったようだ。メシヤの辞書は、入手先が謎である。

 やぶくは言い間違いでは無く、「やぶる」と「さく」の合体だ。うろ覚えで何か言い間違いを指摘された時に、これは混成語だと言い逃れ出来る?

「女子高生が得意そうなジャンルだネ」
 エリも次から次へと生み出せるだろう。

「こういう制限を無くしてどんどん作るといいんじゃないかな。広まる広まらないは、その混成語の出来次第だし、完成度が高ければ誰もが使いたくなるよ」
 流行語大賞も狙えそうだ。

「パーペキも混成語かナ?」
 これは似た意味の言葉の合わせ技ではある。

「スモッグはスモークとフォッグの組み合わせなのね。勉強になるわ」
 言葉の習得はこうしたことも助けとなる。

「うーめんとかチャー丼とか可能性はたくさんあるね。レバニラが苦手な人は多いと思うけど、フォアグラとニラなら食べれる人も増えるんじゃないかな」
 それは食べてみたいぞ。※西日本人に、ら抜き言葉の指摘をしないこと。

「フォアニラ炒メ、ワタシが最初に食べル!」




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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