第149話 蟹を食べに行こう

文字数 798文字

「張り切っていこう!」
 海の家に来ている。花咲ガニは、夏が旬である。

「夏の海に蟹って、あまりにも絵になりそうね」
 魅力的な白いハッピービーチだ。

「裁紅谷たちは別飯か」
 例の如く、カシュルートにより甲殻類は食べられない。

「いいんだヨ。別に食べたくないんだかラ」
 なぜか小刻みに震えている。

「貝もタコもうなぎも食べられないので、毎回お話作りに支障が出ていますわ」
 それを補ってあまりあるキャラクター性を、この姉妹は持っている。

「エリとレマには尾崎牛を用意してるよ」
 すぐ機嫌が良くなるエリ。

「お、天ぷら鍋か」
 夏と天ぷらは相性がいい。

「へー、蟹の天ぷらってわけね!」
 大阪城を破壊するだけでは済まなさそうだ。

「そう、蟹天丼だよ」
 残念ながら、蟹江町で蟹グルメは聞かない。

「いいナー・・・」
 カツも食えるように改宗したらどうだろうか。

「わたくしたちはカニパンで我慢しましょう、お姉さま」
 あんパンにはあんが入ってる。ジャムパンにはジャムが入ってる。だけどカニパンにはカニが入ってない。

「親爪は絶対入れて欲しいわね」
 中華のカニ爪フライも人気メニューだ。

「ホタテとイカも入ってるんだな」
 さながら、舞い踊りのようである。

「ほら。エリとレマには先に牛天丼」
 至高・究極の上を行く、極楽のメニューである。

「ありがとウ、メシヤ!」
 エリの白いお腹が鳴る。

「ありがとうございます、メシヤさま!」
(水着ですから、食べ過ぎには気をつけないと・・・)

「食べる前から分かってたことだけど、やっぱり美味しいわね!」
 胃袋が満たされていると、上機嫌になるものである。ジェンダーレス水着などは絶対に着ないマリア。

「カニカマにしてやられることがあるが、こいつは正真正銘のカニ天丼だな」
 2杯目に手を掛けるイエス。

「あれ、あそこに居る人ってもしかして・・・?」
 メシヤが白砂青松を指さす。

「「松の木に、あのハリソン・フォード!」」




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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