241 最終兵器は彼女

文字数 1,112文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 空中要塞ガルシラで大陸中央部に向かう俺とロロコ。
 待ち受けているのはエドと魔王だ。

 エドの目的は元の世界に帰還すること。
 そのためには、俺の持つ回帰魔法――因果を捻じ曲げる力が必要なのだそうだ。

 さらにエドは魔王の力をあちらの世界に持ち込もうとしている。
 自分が持つ人間の精神に働きかける力。
 クーネアさんが持つ物理現象に働きかける力。
 その双方を持って、向こうの世界に君臨するつもりのようだ。

 二つの世界を結びつけるゲート。
 それは一度開くと簡単には閉じれないらしい。
 無理に閉じようとするとあちらの世界が崩壊してしまう。
 それを防ぐには、膨大な魔力を使ってゲートをゆっくり閉じるしかない。

 その魔力をエドは、こちらの世界から供給するつもりだ。
 こちらの世界の魔力を全て消費すればゲートは安全に閉じることができる。

 その代わり、その場合こちらの世界が消滅してしまう。

 まったくどうかしてる。

 エドはこの世界に愛着がないのかもしれないが、俺はそうではない。
 だから、あいつがやろうとしていることをそのまま受け入れるわけにはいかない。

「リビたん」

 ロロコが声をかけてきた。

〈ああ、来たな〉

 俺も気づいていた。

 俺とロロコはガルシラの操縦室を出る。
 ガルシラの操作はマジカルアーマーたちに任せて進行方向に向かった。

 その途中で発見。

 上空に二つの人影。
 エドとクーネアさんだ。

「まさかそちらから来てくれるとは思いませんでしたよ」

 エドが笑みを浮かべてそう言ってくる。
 ずいぶん余裕そうな態度じゃねえか。

〈そっちこそ、のこのこ顔出して大丈夫なのかよ?〉

 俺は身構えながら言う。

 見たところ、エドもクーネアさんもなにかの対策を立てている様子はない。

 クーネアさんは前はロロコを警戒してたけど。
 問題ないのだろうか?

 そこがちょっと気になるな。

 と思ってたら、

「もちろん、ちゃんと対策を立ててきましたからね」

 え、マジで?

 そう思ってるとエドが手のひらをこちらに向けてきた。

 手袋を外したその手のひらには、魔王の肉片が埋め込まれている。
 それが淡く光ったかと思うと、

「うっ……」

〈ロロコ!?〉

 見れば、ロロコが中途半端な姿勢で固まっている。

「身体が動かない」

 しまった。
 エドの精神支配か。

「魔王陛下、お願いします」

 さらに、エドの言葉にクーネアさんが頷いた。

「よかろう」

 そして彼女は背中から生やした羽根のようなパーツを広げた。

 一気に何十倍にも巨大化する羽根。
 それがバサリと打ち震われる。

 その途端、ガルシラ全域が激しく振動して……。

 ――ビシビシビシビシ!

 わー!
 一斉にヒビが入った!?
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