172 リビングアーマー・バラバラ事件(110話ぶり3回目)

文字数 1,027文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 突然だけどクイズだ。
 鎧の中のガランドウは鎧の内側だろうか外側だろうか?

 正解は俺も知らないけど、とりあえず今は外側だと思いたい。
 じゃないと気持ち悪いことこの上ない。

 苔モンスターが鎧の中にまで入り込んできたのだ。

 うわー!
 しかも内側に入ってきたやつは、なんか増殖の速度がはやまってる!

 たぶん、鎧の内側は俺の魔力が発生してるんだ。
 この苔モンスターはその魔力を食って増殖してる。

 やばいやばい。
 これどうすりゃいいんだよ。

「……! …………!」

 誰かの声が聞こえるけど、遠くてなにを言ってるかわからない。
 どうやら苔モンスターに押されて、みんなだんだん離れてしまってるみたいだ。

 ぬお!?

 ちょ、やめろ!
 引っ張るんじゃない!

 苔モンスターはめちゃくちゃ小さな個体がそれぞれ勝手に増殖してる。
 なので、右腕あたりの奴らと左腕あたりの奴らは違う方向に向かって移動してる。
 他のパーツのあたりにいる奴らも同様だ。

 その結果、俺の各パーツは苔モンスターによって別々の方向に引っ張られる。
 このままじゃ全身バラバラになってしまう。

 っていうかマズいぞ。
 俺はバラバラになっても死なないけど、ほかのみんなはそうじゃない。

 しかし苔モンスターは全体への攻撃じゃないと倒せない。
 しかし全体への攻撃を加えるとみんなも危険だ。

 困った……。

 ……よし、じゃあこういうのはどうだ?

〈は〜〜〜〜〜……!〉

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐる……。

 原初魔法ビームを発する術式に流す魔力を超小出しにする。
 なおかつ、俺の身体の周りをぐるぐる回るような形で出力する。

 ――ももももももっ!

 よし!
 俺が発した魔力に惹かれて、苔モンスターが俺に集まってきた。

 これでみんなのところは隙間ができて、逃げ出すチャンスもできるかもしれない。

 俺は苔に押しつぶされるかもしれないが、パーツが一個でも残ってれば死なない。
 フィオンティアーナのときと違って、苔の増殖はダンジョン内にとどめておける。
 時間的余裕もあるから、すぐに苔ごと自爆! みたいなこともしなくていい。

 これでなんとか……。

 しかしこの苔ども遠慮がないな。

 俺に群がって魔力を食って増殖しては、俺のパーツを好き勝手に引っ張りやがる。

 げ、各パーツを繋いでいる革ベルトが引っ張られてちぎれたぞ。

 あ、右腕が取れた。
 左腕も取れた。

 両脚!
 腰!
 頭!

 うおおおお!

 久しぶりに全身バラバラだ!
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