184 両腕とドグラ・Ⅲ

文字数 702文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 隣にいるのはドラゴン娘のドグラ。
 それと、ピアニアみたいな魚野郎。

 襲いかかってくるそいつらが、俺の身体に吸い込まれてしまった。

 と思ったら、今度は、俺の指先から水が吹き出した。

 まるで消防車の放水ホースみたいな勢い。

 ぶち当たったピラニア野郎は吹っ飛んでいった。

 いえーい、ざまみろ。

 しかしなんなんだこの水。
 っていうか止まらないんだけど。

 おい、もういいよ。
 止まれ止まれ。

 ……あ、止まった。

「ふむ、どうやら、今のモンスターの魔力を自分のものにしたようじゃの」

 とドグラ。

 そうだ、そんな話をしている途中だった。

〈魔力と物質が根源的には同じものってどういう意味だ?〉

「はるか昔、この世界を生み出した神は、『目に見えるもの』と『目に見えないもの』を同じ量だけ生み出した、とされておる」

〈見えるものが物質、見えないものが魔力ってことか〉

「そうじゃ。神なんてものが本当におるかどうかは置いておいて、物質と魔力は、ともにこの世界の構成要素として同等のものなのじゃな」

〈わかるようなわからんような……〉

 ――キシャアアアアアアアアア!

 話の途中だがピラニアだ!

 ああ、もう、邪魔!

 ぶしゃああああ!

 と水を放ってピラニア野郎を追い払う。

 ん、だいぶ自由に操れるようになってきたな。

 ――ドカン、バタン、ドーーン!

 やかましいな……。
 今度はなんの音だ?

 見れば、少し離れたところにある扉が開き、向こうからなにかが飛び込んできた。

 別のフロアに通じる扉だろう。

 飛び込んできたのは、

〈ロロコ!?〉

 と俺の頭!

 ――ふごおおおお!

 と火を吹く巨大な鳥!

 最後のはいらない!
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