150 ドラゴンはどこへいった

文字数 2,128文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 ポローナニアに現れたオークキング。
 彼は、オーク族の暴走は天空塔ダンジョンにある謎の装置のせいだという。

 その装置を設置したのはヴォルフォニア帝国。
 ライレンシア博士という人らしい。

 その名前も気になるけど、今は置いておいて。

 その装置をどうにかしたいのだけど。
 天空塔ダンジョンにエンシェント・ドラゴンが住み着いてしまった。
 おかげでダンジョンを自由に動けるオークたちも装置に近づけない。

 だが——俺たちならそのドラゴンをなんとかできるかもしれない。

 なぜならそのドラゴン、ドグラの妹のマグラっぽいからだ。

 しかしタイミングの悪いことにドグラは不在。
 オークをおびき寄せる臭いに耐えられず、飛び去ってしまったからだ。

〈ドグラってどこに行ったんだろう〉

「あのとき見た感じだと、フィオンティアーナの方へ飛んでいったように思いますけど」

 とアルメル。

 フィオンティアーナか。
 なんかついこないだなのにずいぶん懐かしい感じがするな。

 そもそも俺たちがこんなところにいるのはあの街のお医者さんに言われたからだ。

 ゴブリン娘のラファがかかってしまった魔力過活性症。
 これを治すには彼女の義手を取り外さなければならない。
 そしてそのためには高純度の魔鉱石が必要。

 俺たちは魔鉱石を持っているチェインハルト商会のエドのもとを訪れた。
 彼は魔鉱石を譲る代わりに、脱走者を捕まえてほしいと言ってきた。
 脱走者は、捕らえた帝国のスパイらしい。

 そのスパイを追って俺たちはヴェティアンへ。
 そこで無事スパイであるクノイチのヒナワを確保できたわけだけど。

 そこでオーク騒ぎが始まってしまった。
 大商人のアントンさんに頼まれた俺たちは、大事な荷物を船で運ぶことになった。

 船の目的地はポローナニア。
 そこから陸路でフィオンティアーナへ運び、さらに帝国へ受け渡す予定、と言われた。
 俺たちもフィオンティアーナに戻るつもりだったのでちょうどいいと思ったのだ。

 しかしそれはアントンさんの計略だった。
 船には、オークをおびき寄せる匂い袋が積み込まれていた。
 結果、船はオークに取り憑かれ、ポローナニア近海で沈んでしまった。

 俺たちはなんとかポローナニアに上陸。
 このときドグラは飛び去ってしまった。

 そしてポローナニアでもオーク騒ぎが起きていた、というわけだ。

 で、ドグラがフィオンティアーナの方に飛んでいったらしい。

 フィオンティアーナにはメディシア家がいる。
 あそこはドグラに深い恩があるので、ドグラを介抱なりなんなりしてくれるだろう。
 そちらへ向かうのもわかる。

〈ってことは、俺たちはこんな感じで動けばいいのか〉

 フィオンティアーナに戻る。

 エドにヒナワを引き渡す。
 そして魔鉱石をもらい、ラファの手術をできるようお医者さんに渡す。

 次にドグラを探す。
 ドグラを見つけたら事情を話し、天空塔ダンジョンに戻る。
 そして妹のマグラにその場から移動するよう説得してもらう。

〈こんなところか〉

「待たぬか」

 ヒナワが言ってくる。

「拙者はエドに引き渡されるつもりはないぞ」

 そうだった。
 エドはあの実験施設で魔王を復活させようとしている。
 そのことの真意を確かめる必要もあるんだった。

〈わかった。それじゃ引き渡すって形にはしない。フィオンティアーナの街に呼び出してエドと対等に話し合うってことでどうだ〉

「それならいいだろう」

 よし、話はまとまったな。

 俺はポローナニアの商業組合の代表の人たちとオークキングに話をする。

 俺たちにはドラゴンの知り合いがいること。
 そのドラゴンが、天空塔ダンジョンのドラゴンを説得できるかもしれないこと。

 初めは半信半疑だった。
 そりゃそうだよな。
 普通、ドラゴンに知り合いなんていないだろう。

 けど、バリガンガルドのドラゴン騒ぎの噂はこの街にも流れていた。
 あのドラゴンを追い払ったのが俺だとアルメルが告げたことで信用してもらえた。

「しかし、地上は暴走したオークだらけだぞ。どうやってフィオンティアーナに向かうんだ?」

 と代表の一人が言ってくる。

 それにはオークキングが、

「それならば地下遺跡を通るしかないだろう。道案内は我が部下がしよう」

〈ええと、その道、モンスターは出ます?〉

「まあ、それなりに出るぞ」

 えー……。
 まあしょうがないか。
 今回は四大ダンジョンじゃないし、そんなに苦戦しないだろう(と思いたい)。

「そういうことでしたら、お見せしたいものがあります。こちらへ」

 と、代表の中の一番年配の人が言ってきた。

 なんだなんだ?

 俺たちがついていくと、その人は鍵のかけられた扉の前にやってきた。
 鍵を開けて扉を開く。

〈おお……!〉

 そこには剣や鎧など、大量の武器防具が並べられていた。

「これを提供いたします。ご自由にお持ちください」

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