103 岩ときどき蛇、ところによりカエル

文字数 1,551文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 それとゴブリン娘のラファ。

 ――がらがらがらがらがらがら!
 ――シャーーーーーーーーー!

 今のは天井が崩れて落ちる岩と、一緒に落ちる大蛇さんたち。

 なんなんだよもう!

〈ラファ、俺と岩の間に入れ〉
「わかった」

 俺は手と足で岩壁にしがみついて、胴を少し浮かせて岩壁との間に隙間を作る。
 ラファはそこに移動する。

 こうすれば、ラファは安全だろう。

 ゴン、ガン、ゴイン!

 と落下していく岩のいくつかが俺の身体に当たる。
 痛くはないので気にしない。
 まあ鎧は傷つくけど、それはあとで交換すればいいしな。

 ボン、バン、ドスン!

 ついでに蛇もぶつかっていく。
 そっちもまあいいけど、けっこう衝撃が大きい。

 あとお前らわざとぶつかってきてるよな!
 くっそ、あとで見てろよ……。

 とは思うけど、実際どうすりゃいいのかさっぱりわからん。

 天井の崩落は全然治る気配がないし。
 大蛇も後から後から落ちてくる。
 ついでに言うと、岩壁をよじ登って、下からも蛇が迫ってきてる。

 俺もいつまでこうやって掴まってられるかわかったもんじゃない。

 ビタン!

 と蛇の一匹が俺の肩に乗っかってきた。

 おい、やめろよ。
 お前ら結構重たいんだから!
 落っこちちゃうだろうが。

 ビタン!
 ビタンビタンビタン!

 あーーーーーー!
 やめろやめろやめろ!

 大蛇どもがどんどん俺にのしかかってくる。
 ラファが追い払おうとしてくれるけど、体勢が悪くてうまくいかない。

 くそ、どんどん重みを増してって、手が岩壁から外れそう……。

 ――がらがらがらがらっ!

 と、そこでさらに天井が大きく崩れた。

 これまでの比じゃないくらい大量に岩が落っこちて。

 ――ゲコゲコゲコゲコ!

 その中にカエルも混ざっていた。

 …………なんでだよ!

 岩。
 カエル。
 岩、岩、岩。
 カエル。岩。
 岩、カエル、岩、岩、岩。
 岩、岩、岩、岩、岩、岩、岩。
 カエル、岩、岩、カエル、岩、カエル、岩、岩。

 こんな感じ。

「あれはマギ・フロッグ・ノームだね。このダンジョンの上の森に住んでる、土魔法を使うカエルのモンスターだよ」

 マギ・フロッグか。
 前に大洞窟ダンジョンの上の森でも遭遇したな。
 あれはたしか、水魔法を使う種類だった。
 あいつらの毒のせいで俺は一回兜パーツだけになったんだよな……。

 しかし今回のカエルどもは俺たちに構ってる暇はない様子。
 岩と一緒にどんどん落下していく。

 っていうか……これ俺ももうむり……。

 ゴン!

 と頭にぶつかった岩が最後の決め手になった。

 俺の手が岩壁から外れて、俺とラファは『ドラゴンの寝床』の底へ落ちていく。

 うわあああああああ!

 どすん、がしゃん、ごしゃん!

 と派手な音を立てて俺は地面に落ちた。

 くっそー、よく見えないけど背中部分が盛大に凹んだ気がするぞ。
 ラファは俺が腹側に抱えて無事だ。

〈大丈夫か?〉
「うん、なんとか」

 よかった。
 それじゃすぐに逃げないと。

 なにしろ、ここには大蛇と毒ナメクジと魔法カエルがいやがる。
 一種類だけでもやばいモンスターが三種類。

 ひょっとしたらもうどうしようもない状況かもしれないけど。
 それでも諦める気にはなれない。

 しかし。

 ――シャーーーーーーーーー!

 俺たちの正面には大蛇の群れ。

 ――ゲコゲコゲコゲコ!

 右斜め後ろにはカエルの群れ。

 ――にゅにゅにゅべしゃ!

 左斜め後ろにはナメクジの群れ。

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