106 第三の難関・トカゲウオ地獄

文字数 1,387文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。
 ついでにこっちは……うぉ!

 ――ボロボロボロボロ!

 トカゲとサカナの中間みたいなモンスターが水面から飛び上がってきた。
 しかもそいつは火を鼻先にまとっている。

 あっぶなー。

 っていうか、なんか懐かしい鳴き声だな。
 いたよな、大洞窟ダンジョンにも、トカゲウオ。

 しかし、あのときのトカゲウオは火なんか持ってなかった。
 っていうか、水の中にいるのに、なんで消えないんだよあの火は。

 ――ボロボロボロボロ!
 ――ボロボロボロボロ!
 ――ボロボロボロボロ!

 なんて考えてる間に、トカゲウオが大量に飛び出してくる。

 うぉ!
 あぶね!
 ぬお!

 ぶっちゃけ火についてはどうでもいい。
 俺、鎧だからね。
 こんなしょぼい火くらいじゃどうにもならない。

 それより危険なのは歯。
 トカゲウオはガチガチと歯を鳴らして食いついてくる。
 さっきその歯が岩を砕いてた。
 たぶん、金属も無事じゃ済まない。

 トカゲウオさん、そんな特性なかったよね?

 ――ボロボロボロボロ!

 あっぶね!

「どう? 修行になりそう?」

 のんびりした声で言ってくるのはラファだ。

〈わからん!〉

 俺はトカゲウオの攻撃をかわすのに必死で、適当な答えを返す。

 俺たちがいるのは、ナメクジの巣から少し進んだ場所。
 第三の難関、マギ・リザード・フィッシュの狩場だ。

 凸凹した岩場で、窪地には水が溜まっている。
 そのうちのいくつかは別の場所に通じているっぽい。
 で、水の中には大量のトカゲウオがいるというわけ。

 適当に歩いて、うかつに水に近づけば、飛び出したトカゲウオにガブリ!
 そんな危険なエリアだ。

 俺はその水近くに行き、トカゲウオの攻撃をかわしている。
 なんとか倒す術はないかと考えているところだ。

 ラファはそれを、少し離れたところから見ている。
 トカゲウオが飛んでいかない安全な場所だ。

 しかし、このトカゲウオ変だな。

〈なあ、ラファ〉

 俺は気になったことを訊いてみる。

〈前に俺が遭遇したリザード・フィッシュは陸にも普通に上がってたんだが、こいつらは上がらないのか?〉

「マギ・リザード・フィッシュが陸に上がるなんて見たことないよ」

〈そうなのか〉

 大洞窟ダンジョンのトカゲウオは水陸両用になった。
 ここのトカゲウオは鼻先の炎と丈夫な歯を獲得した。

 それぞれ違う進化を辿ったってことか。

 しかし、それならこっちのほうが対処は楽な気がするぜ。

〈おら!〉

 俺は襲いかかってきたトカゲウオをかわす。
 そして、その横腹を殴りつけてやった。

 ――ボロボロボロボロ!?

 トカゲウオは驚きの声を上げて、水の中に落ちた。

 はっはっは、どうだ。
 まさか反撃されるとは思ってなかっただろう。

「おー」

 ラファがパチパチと手を叩く。

 よし、いいぞ。
 どうせ絶海の孤島ダンジョンの本島まで行くには、ここを抜けなきゃいけない。
 ついでにトカゲウオ退治して、経験値を稼がせてもらうとしよう。

 と思ったら、

「反撃したら、そいつらも本気出してくるよ。いよいよ本番だね」

 え?
 なんですと?
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