111 迷子の迷子のゴーレムさん

文字数 1,411文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 そしてこっちは巨大なゴーレム団子。

 ――ギュイイイイイイイイイイイイン!

 団子はすごい勢いで回転しながら俺たちを追いかけてくる。

〈ぎゃーーーーーーー!〉
「うわーーーーーーー!」

 俺とラファは洞窟を必死で逃げ回る。

 ゴーレム団子は俺たちを追いかけながら、洞窟の壁をどんどん破壊していく。

 高速回転してると普通の球体みたいだけど。
 あの団子、あっちこっちから腕やら脚やらのパーツが飛び出している。
 それが洞窟の壁にぶつかって、どんどん削っていってるのだ。

 しかも動きが安定しないもんだから、あっちにぶつかりこっちにぶつかり。
 おかげで洞窟はどんどん広がって、変形していってる。

「ど、どうする?」
〈どうするもこうするも、逃げるしかないないだろ!〉

 洞窟がどんだけ変形してもいいけどさ。
 あんなのに激突されたら人体なんかきっと一瞬でバラバラだ。

 俺も削れてすりつぶされて巻き込まれて、あの団子の材料にされてしまうだろう。

 というわけで逃げるしかない!

 ――ギュイイイイイイイイイイイイン!

 スピードアップしやがった!

 ちくしょう!
 さっきまで土に埋まってたくせに、ずいぶん元気だな!

 だいたい、ゴーレムって動力はなんなんだ?
 なにを燃料に動いてるんだよ。

 ……まあ、さまよう鎧の俺が偉そうに言えることじゃないけどさ。

 ――ギュイイイイイイイイイイイインギュイギュイギュイギュイ!

 ん?
 なんか音が途中で変わったな?

 逃げながら後ろを振り返ると、ゴーレム団子は思ったより離れたところにいた。

 なんか、途中で俺たちを追いかけるのをやめた様子だ。
 その場にとどまって、なにやら天井にゴンゴンぶつかってる。

〈なんだ?〉
「ひょっとしてべつの獲物を見つけたのかな?」

 なるほど、その可能性はあるな。

〈よし……今の内に逃げよう〉
「うん」

 俺とラファはその場を離れようとする。

 ――ギュイギュイギュイギュイ!

 まあせいぜい新たな獲物を攻撃してくださいよ。

 ――ギュイギュイギュイギュイギュギュギュギュギュギュ!

 音がどんどん激しくなってく。
 チラッと見ると、もう半分くらいが天井に潜り込んでいた。

 すごいな。
 まるでトンネルを作る掘削機みたいだ。

 ――ガラガラガラ。

 …………ん?

 ――ゴゴゴゴゴゴ……。

 …………えーと。
 なんか不吉な音が聞こえますね。

 俺知ってるよ。
 これまで何度も聞いたことあるからね。

 洞窟が崩れる音だー!

〈逃げろー!〉

 俺は叫ぶが、手遅れ。

 ガラガラガラ! と天井が崩れ。
 ついでにグラグラグラ! と足元も崩れ。

『危険です危険です危険危険危険ですですです』

 ええいやかましい!
 危険にしたのはお前じゃ!

 と、故障中のゴーレムに文句を言っても仕方ない。

 俺とラファは崩落に巻き込まれ落下していく。

〈ぬわーーーーー〉
「うわーーーーー」
「きゃーーーーーーー!」

 ん?

 なんか今三人目の声が聞こえなかった?

 それも、聞き覚えのある声。

 えーと…………。

「ロロロロロロロコさんどうしましょう!」

 …………アルメルの声だ!
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