141 オーク襲来!

文字数 1,339文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちは人犬族のロロコ。
 それにエルフのクラクラ。
 それとドワーフ嬢のアルメル。
 そしてドラゴン娘のドグラ。
 ついでに忍者のヒナワ。
 さらにお腹を空かせたオークさん。

 うわああああああ!

 オークは壁を打ち破って建物の中から現れた。

 どうなってんだ!
 街を襲撃してきたばかりだろ!
 なんでもうこんなところにいるんだよ!

「ハラ、ヘッタアアア!」

 うお!
 あぶね!

 オークが斧を振り下ろしてくる。
 俺はそれをなんとかかわした。

 いや、べつに痛いわけじゃないし。
 そうそう傷がついたりはしないと思うけどね。

 オークさん、すげえ馬鹿力なんだもん。
 万が一ってことはありそう。

 なにしろ、オークはその斧で石造りの壁を破壊してるのだ。

「クイモノオオオ!」

 あ、また。

 ――ドガラアアアアン!

 オークが斧を振るたびにそれがぶつかって、建物がどんどん破壊されていく。

「と、とりあえず逃げましょうよう」

 アルメルが言ってくる。

 その通りだな。

 オークは俺たちを狙ってるわけじゃない。
 標的にされる前にさっさと立ち去っちまおう。

 と思ったら、オークがこっちを見てきた。

 正確にはクラクラを見てる。

 ヤバいぞ。
 オークはエルフから派生した種族って話だ。

 俺の世界のフィクションじゃ、醜いオークはエルフに激しい憎しみを抱いている。
 このオークの攻撃目標がクラクラに向かうかもしれない。

「……チッ、エルフハ、アイカワラズ、ミテラレナイクライ、ミニクイ、ナ」

 舌打ちして視線を逸らすオーク。

 お前いきなり流暢になったな!?

 っていうかなに、この世界のオークはエルフに対してそんな感じなの?

 ……まあでも、そもそも、オークはエルフと外見が違いすぎる。
 大昔はエルフと同じ種族だったかもしれんけどさ。
 だからって、子孫まで憎み続けるなんてことはないのかもしれない。

 オークから見れば、エルフが醜く見える。
 そもそも美の基準が違う。
 ありそうな話だ。

〈と、とにかく逃げよう。チャンスだ〉

 オークがこっちに興味を失ってる今がチャンスだ。

「か、カッコいい……っ!」

〈クラクラ!?

 エルフの側からはそんな感じなのかよ!

「クラクラさん、出てかないほうがいいですよ!」

 フラフラ~とオークの方に行きそうになるクラクラをアルメルが慌てて止める。

 そこまで!?

「チッ、コッチクンナ、ウットオシイゾ、エルフノメスメ」

 すげえな。
 俺の世界のフィクションとまるで立場が逆だ。

 なにはともあれチャンスだ。
 俺たちはオークから離れる。

 まずはどこか落ち着ける場所を探したいな。
 街の住人たちはどこに行ったんだ?

「おおい、あんたら、こっちだこっち」

 お、誰ぞ俺たちを呼んどる。

 見れば、お城みたいな高い壁に小さな扉がついていた。
 そこから顔を出した男の人が俺たちを手招いていた。

「早くここに入れ」

 どうやらあそこは避難所らしい。
 助かった。

 俺たちはそこに走っていった。
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