151 マジカルアーマー
文字数 1,570文字
どうも、リビングアーマーの俺です。
俺の目の前には大量の武器防具。
ポローナニアの代表者は、これを好きに使っていいと言う。
〈本当に? いいんですか?〉
「ええ。ここにあるのは、注文された方が破産したり亡くなったりと、様々な理由で使い道のなくなってしまったものなのです。ですから、この街を救ってくださるというなら、ぜひとも使っていただきたい」
そういうことなら遠慮なく。
「なにしろそのようなチグハグな鎧を身につけておられるので……よほどの厳しい冒険をされていたのでしょう……」
と代表者のおじさんは、俺の格好を見ながらしみじみとした口調で言ってくる。
ああ、いや、まあ、厳しい冒険といえばそうなんだけどさ。
たしかに俺の格好はチグハグだ。
全体的にはアルメルがくれた鎧。
しかし、頭部と右腕、左腕、右脚パーツがゴーレムのものだ。
ただ、ゴーレムパーツはオリハルコンって素材でできていて、魔力伝導率がいい。
これのおかげでパワーアップしている面もある。
なので見た目重視で全部挿げ替えるというわけにもいかない。
けど、ゴーレムパーツ以外の部分はもっといい鎧があるかもしれない。
探してみよう。
俺たちは代表者のおじさんにお礼を言って、部屋の中を探索する。
おー。
なんか豪華な感じだな。
鎧の雰囲気が、これまで見てきたものより華やかなのだ。
どうしてだろう、とよく見るとわかった。
表面に模様が描かれているんだ。
「これはエッチングですね」
ドーワフ嬢のアルメルが言ってくる。
「表面だけを型に合わせて腐食させることで金属に模様を作る技術です。手間がかかりますので、その分お値段も高くなります」
なるほど。
〈防御力的にはどうなんだ? 丈夫だったりする?〉
「駄目だな」
とこれはエルフのクラクラ。
「見た目はいいし、造りも悪くない。だが、強度は劣る」
そうなの?
えーと、鎧って南方鎧と北方鎧に分かれているって話だった。
南方鎧は平板な造り。
北方鎧は所々に畝を作って強度を増している。
そういう話だった。
アルメルが作ってくれた俺のパーツも北方鎧だ。
この部屋にある鎧は、見た目は北方鎧みたいに見えるんだけど。
「たしかに形は北方鎧のパターンを受け継いでいる。畝なども再現しているな。だが、どれもかなり薄い」
あ、本当だ。
縁を見るとわかる。
それに持ってみるとかなり軽かった。
クノイチのヒナワが言ってくる。
「そもそもこの地域の者どもは傭兵を雇うことが多く、自分では戦争をせぬからな。鎧はどちらかといえば儀式用、いいところが指揮官用だ」
それでエッチングなんて面倒な手間をかけてるのか。
戦場で使い潰すつもりなら、余計な装飾とかいらないもんな。
〈じゃあここにあるのは役に立たないのか……〉
見た目は綺麗なのになー。
「リビたん、リビたん」
と、ロロコが俺の腕をペチペチ叩いてくる。
「どうした、ロロコ?」
「あそこに、なんかすごいのがある」
すごいの?
言われるままについていくと、部屋の端に鎧があった。
他の鎧と同じようにエッチングで装飾が施されているんだけど……。
その量がなんか多い。
他の鎧の三倍くらい細かい模様――文字?――が描かれている。
それに、なんだ……?
この鎧、すごい魔力を発してるような……。
「ふぉぎゃーーーー!」
うお、びっくりしたぁ!
アルメルが変な声を上げていきなり、俺たちが見ていた鎧に飛びついた。
「ここここ、これはぁ! マジカルアーマーじゃないですかっ!」
マジカルアーマー?
それなんかすごいの?
俺の目の前には大量の武器防具。
ポローナニアの代表者は、これを好きに使っていいと言う。
〈本当に? いいんですか?〉
「ええ。ここにあるのは、注文された方が破産したり亡くなったりと、様々な理由で使い道のなくなってしまったものなのです。ですから、この街を救ってくださるというなら、ぜひとも使っていただきたい」
そういうことなら遠慮なく。
「なにしろそのようなチグハグな鎧を身につけておられるので……よほどの厳しい冒険をされていたのでしょう……」
と代表者のおじさんは、俺の格好を見ながらしみじみとした口調で言ってくる。
ああ、いや、まあ、厳しい冒険といえばそうなんだけどさ。
たしかに俺の格好はチグハグだ。
全体的にはアルメルがくれた鎧。
しかし、頭部と右腕、左腕、右脚パーツがゴーレムのものだ。
ただ、ゴーレムパーツはオリハルコンって素材でできていて、魔力伝導率がいい。
これのおかげでパワーアップしている面もある。
なので見た目重視で全部挿げ替えるというわけにもいかない。
けど、ゴーレムパーツ以外の部分はもっといい鎧があるかもしれない。
探してみよう。
俺たちは代表者のおじさんにお礼を言って、部屋の中を探索する。
おー。
なんか豪華な感じだな。
鎧の雰囲気が、これまで見てきたものより華やかなのだ。
どうしてだろう、とよく見るとわかった。
表面に模様が描かれているんだ。
「これはエッチングですね」
ドーワフ嬢のアルメルが言ってくる。
「表面だけを型に合わせて腐食させることで金属に模様を作る技術です。手間がかかりますので、その分お値段も高くなります」
なるほど。
〈防御力的にはどうなんだ? 丈夫だったりする?〉
「駄目だな」
とこれはエルフのクラクラ。
「見た目はいいし、造りも悪くない。だが、強度は劣る」
そうなの?
えーと、鎧って南方鎧と北方鎧に分かれているって話だった。
南方鎧は平板な造り。
北方鎧は所々に畝を作って強度を増している。
そういう話だった。
アルメルが作ってくれた俺のパーツも北方鎧だ。
この部屋にある鎧は、見た目は北方鎧みたいに見えるんだけど。
「たしかに形は北方鎧のパターンを受け継いでいる。畝なども再現しているな。だが、どれもかなり薄い」
あ、本当だ。
縁を見るとわかる。
それに持ってみるとかなり軽かった。
クノイチのヒナワが言ってくる。
「そもそもこの地域の者どもは傭兵を雇うことが多く、自分では戦争をせぬからな。鎧はどちらかといえば儀式用、いいところが指揮官用だ」
それでエッチングなんて面倒な手間をかけてるのか。
戦場で使い潰すつもりなら、余計な装飾とかいらないもんな。
〈じゃあここにあるのは役に立たないのか……〉
見た目は綺麗なのになー。
「リビたん、リビたん」
と、ロロコが俺の腕をペチペチ叩いてくる。
「どうした、ロロコ?」
「あそこに、なんかすごいのがある」
すごいの?
言われるままについていくと、部屋の端に鎧があった。
他の鎧と同じようにエッチングで装飾が施されているんだけど……。
その量がなんか多い。
他の鎧の三倍くらい細かい模様――文字?――が描かれている。
それに、なんだ……?
この鎧、すごい魔力を発してるような……。
「ふぉぎゃーーーー!」
うお、びっくりしたぁ!
アルメルが変な声を上げていきなり、俺たちが見ていた鎧に飛びついた。
「ここここ、これはぁ! マジカルアーマーじゃないですかっ!」
マジカルアーマー?
それなんかすごいの?