110 ゴーレム団子

文字数 1,200文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 そしてこっちは巨大なゴーレム?

 なんで疑問形かっていうと、見た目は全然ゴーレムに見えないからだ。

 なくなった左腕と右脚パーツを補完するためにゴーレムを起動させた。
 そしたら、地面に埋まってた他のゴーレムパーツも反応してしまった。
 そして大量のゴーレムの残骸が地面から姿を現したのだ。

 そこまでは別にいい。
 問題は、そのゴーレムパーツたち、なんか勝手に合体し始めたのだ。

 しかも、ちゃんと一体ずつ人間っぽい形になるならまだいい。
 そうじゃなくて、なんかめちゃくちゃに勝手にくっつき始めたのだ。

 もう接続部がどことか、パーツ同士の繋がりがどうとか、そんなのお構いなし。
 それぞれが好き勝手にくっついていく。

 大量の金属が強い磁石に引かれてひっついちゃってるみたいな状態だ。

 おかげで、鉄屑を丸めて固めたお団子みたくなってる。

 そんなゴーレム団子が俺たちの目の前に浮いてるのだ。

〈えーと……これってやっぱり、俺が起こしたせいかな?〉

「そうだと思うよ」

 まいったな。
 まさか自分に接続されるパーツ以外のパーツが目覚めるとは思わなかった。

 こんなのゾロゾロ引き連れていくのはちょっと大変だ。
 せっかく起動したこいつらには申し訳ないけど。
 ここはもう一度眠りについてもらおう。

 俺は意識を集中して、目の前のゴーレム団子を操ろうとする。

〈あれ?〉

 動かないな。

 そうか。
 こいつら、べつに俺の身体のパーツになってるわけじゃないのか。
 俺にくっついた左腕と右脚はもう完全に俺のパーツになってるんだけどな。

 えーと、じゃあどうすればいいんだ。
 とりあえず命令してみるか。

〈あー、起こして悪かったな。また地面に戻って寝ててくれ〉

『…………』

 返事がない。

〈おーい〉

『めめ、命令の音声入力を検知、しましましました』

 お、聞こえたかな。

『……命令内容を、確認できませませんでしたでした』

 声自体は聞こえたけど、内容がわからなかったらしい。
 じゃあもう一度言うか――

『セーフティロックを解除しますますます』
『自己防衛機能を作動しますしますします』
『ががが外敵を排除しますますます』
『せ殲滅モードモードに入り入りますますますすすすすすす』

 …………なんか物騒なこと言ってますねえ。

 ――ギュイイイイイイイイイイイイン!

 のわーーーーー!?
 なんか突然ゴーレム団子が回転を始めた!

 団子の表面から生えた腕や脚がべしんばしんと周囲の岩を叩く。
 叩かれた岩が、まるで大砲でもぶち当たったみたいに弾けて吹っ飛ぶ……。

〈…………逃げろーーーーー!〉
「言われなくても!」

 俺とラファは慌てて駆け出した。
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