225 追いかけて魔王

文字数 1,001文字

 焔狼族に先祖返りしたロロコ。
 それを見た魔王は洞窟のさらに奥へと逃げ出した。
 エドもその後を追う。

 俺とロロコはどうするか迷った末、追いかけることにした。

 いったん洞窟から出て態勢を立て直すってのも考えたんだけど。
 なにをしたところで魔王に対抗しようなんかない。
 それよりは、唯一の対抗手段っぽいロロコがいる今が最大の好機だ。

 対策を立てられてしまう前に一気に攻めるべき。

 そう考えたのだ。


 それに、一つ策もあることだしね。
 その策はとりあえず内緒にしておくとして……。

 そうして洞窟の奥地までやってきた。

 魔王とエドが大きく湾曲した道を曲がってその奥に消えた。

 俺とロロコはその後を追って最奥の空間に飛び込んだ。

〈あれ?〉
「消えた」

 そこは十二畳くらいの、これまでと比べるとこじんまりとした空間だ。
 道は俺たちが通ってきた道だけで、行き止まりになっている。
 そのはずなのに……。

 魔王とエドの姿はどこにもなかった。

〈どこかに隠し扉でもあるのか?〉

 調べてみる。
 しかし残念ながらそんなものはなかった。

〈転移魔法でも使ったか〉
「そんなもの、あるの?」

 ん?

 ああ、そうか。
 この世界では今は失われた技術なのか。

〈ああ、俺の記憶の中にそんな魔法の術式がある。魔王がそれを使えても不思議じゃない〉

「どこに逃げたのかわかるの?」
〈探ってみる〉

 俺は魔力の流れを辿る。

〈これは……洞窟の外、山の北側にいるな〉

 ずいぶん中途半端なところにいる気がする。
 もっと遠くまで逃げてしまえばいいだろうに。
 そうできない理由でもあるんだろうか。

「早く追いかけよう」
〈いや、大丈夫だ。ちょっと待ってくれ〉

 そして俺は、この山の周囲にいる6000体のリビングアーマーに指示を出す。

 そう、さっき言った策ってのはこれだ。

 この山にエドが施した魔法防壁を破壊する目的。
 そして溢れ出る魔物を排除するために配置したリビングアーマー旅団。

 攻撃を受けて何体か数は減ってしまったけど。
 それでも6000体近くが残っている。

 そのうち持ち場を離れても問題ないやつを魔王の居場所に向かわせる。

 向かわせるって言っても、そっちも自分だ。
 なので『向かう』って言ったほうがいいかな。

 とにかく集団で取り囲んで、俺(本体)とロロコが辿り着くまで時間を稼ごう。


 ――どかーーーーーーん!!!!


 うわあ!
 なんだよいきなり!

 天井が崩落してきたぞ!
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