102 ヘビヘビパニック

文字数 1,760文字

 どうもリビングアーマーの俺です。

 ――シャーーーーーーーーー!

 それとゴブリン娘のラファ。

 ――シャーーーーーーーーー!

 そしてこっちは宙を飛んで俺たちに襲いかかってくる大蛇の皆さん。

 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!

 ああもう鬱陶しいな!
 自己紹介の間くらい静かにしててくれませんかねえ!

 とか言って、実はそれほど余裕のある状態じゃない。

 さっきから俺たちが蛇を掴んでは落とし掴んでは落とししてたのに気づかれたっぽい。
 蛇が怒ってどんどん俺たちに飛びかかってくるのだ。

 宙を飛ぶ、といっても本当に飛んでるわけじゃない。
 身体を跳ねさせて、天井から俺たちのいる岸壁に突っ込んでくるのだ。

 俺たちはそれを身体を揺らしてなんとかかわす。
 蛇は岩にぶつかって、そのまま落下していく。

 けどまたすぐに次のやつが飛びかかってくる。
 うわ!
 今度のは避けれない!

「このっ」

 どずん!

 とラファが左腕のゴーレム義手で蛇を殴りつけた。
 蛇は二つ折れになって、天井の仲間のところへ吹っ飛んでいった。
 ぶつかった衝撃で、数匹まとめて落下していく。

 うわー。
 えげつない威力だな。
 単純なパワーで言うなら、俺がパンチしたよりも威力ありそう。

 しかし蛇たちはそれでますます怒って俺たちに飛びかかってくる。

 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!
 ――シャーーーーーーーーー!

 ああああああ!
 多すぎ多すぎ!

 昔家族で行った温泉宿に、穴から飛び出してくるワニを叩くゲームがあった。
 あれの後半みたいな勢いで蛇がどんどん勢いを増していく。

〈このままじゃ避けきれなくなるぞっ〉

 俺自身も飛んでくる蛇を殴りつけたりしつつ言う。

「でも、見てリビタン。蛇の数が減ってきて出口が見えた」

 おお!
 本当だ!

 天井に屯していた蛇が落下していったおかげで、天井の様子が見えるようになった。
 そこには確かに上へと続く穴があった。

〈あのサイズなら、なんとか通れそうだな〉
「うん。もうちょっとだよ!」

 蛇たちは俺たちに襲いかかってくる。
 そいつらを全部下に叩き落とせば、あの穴から脱出できる!

 ――シャーーーーーーーーー!

 ばしん!

 ――シャーーーーーーーーー!

 どずん!

 ――シャーーーーーーーーー!

 ばしん!

 ――しゅるるるる……。
 ――しゅるるるる……。
 ――しゅるるるる……。

 ん?
 なんか下から蛇の声が聞こえませんでした?

 調子いい感じで飛んでくる蛇を叩き落としてた俺は、ふと下を見る。

 ぎゃーーーーーーー!
 蛇の大群が壁をよじ登ってきてる!

 なになに?
 仲間の加勢にでもきたの?

 しかし天井の蛇がもうすぐ片付く。
 そうすれば穴から脱出してこんな場所おさらば……

 ――しゅるるるる……。
 ――しゅるるるる……。
 ――しゅるるるる……。

 うわーーーーーー!
 穴から追加の蛇が出てきた!

 ってことはあの穴の先にも大蛇がいるってことか。
 あそこから逃げれないってことじゃん!

「うわー、ヤバいねこれ……」

 そう?
 ラファもやっぱりそう思う?

 上からは相変わらず蛇が飛びかかってくる。
 下からは蛇の大群がにゅるにゅると這い上ってくる。

 うおおおおお、どうすんだこれ!

 ――ミシミシッ。

 ん?

 ――ビキビキビキッ。

 いやいやいや。
 なんですかその不穏な音。

 俺は音のしたほう――天井を見る。

 天井に盛大に亀裂が走っていた。

〈どうなってるんだ……〉

「ひょっとして、ケイヴ・スネークが穴から大量に出てこようとして、岩を壊しちゃってるのかも」

 マジかよ。
 そんなことってある?

 しかし事実、天井のヒビはどんどん広がっていく。
 そして……。

 ――バキバキバキッ。
 ――がらがらがらがらがらがら!

 ぎょわーーーーーーー!
 天井が崩れたー!
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