202 あれから2年経ってるってことよ

文字数 795文字

「リビたん、リビたん!」

 懐かしい声で俺は目を覚ました。

 ゆっくりと身体を起こす。
 ガチャガチャという金属音。
 どうやらこの身体は相変わらず鎧のままのようだ。

 鎧だ、と思った瞬間、身体感覚が戻ってきた感じがした。

 兜。
 胸部。
 両腕。
 腹に腰。
 両脚。
 全てのパーツが揃っているのがわかる。

 そして、それと同時に視界が開けた。

 目の前に犬耳の少女が立っていた。

〈ロロコ?〉

 疑問形なのは、俺の記憶の中の彼女とちょっと違ったからだ。

 顔立ちがちょっと大人っぽくなった。
 犬耳がピンと立って大きくなっているし、尻尾も長くなったようだ。
 なんとなく、ロロコにお姉さんがいたらこんな感じかなという雰囲気。
 でも、俺の名前を呼ぶときの、独特のイントネーションがロロコだった。

〈久しぶり……でいいのか?〉

「リビたん、よかった!」

 そう言って抱きついてくるロロコ。
 なんだか照れるな……。

 俺はロロコを抱きとめながら周囲を見回す。

 そこは薄暗い空間だ。
 床に壁、そして天井も石積みで、窓はない。
 地下空間といった感じ。

 そしてその床にはたくさんの鎧が転がっていた。

 新しいものも古いものも。
 綺麗なものも壊れているものも。
 パーツが揃っているものもバラバラのものも。

 いろいろな鎧があった。

 なんだか、神殿で神に捧げられた生贄のようだと思った。

〈ここは……どこなんだ? 今、世界はどうなった……?〉

 ロロコがいるということは、とりあえず滅亡はしていないんだろう。

 しかし、周りがこれでは何もわからない。

「ついてきて。詳しくは、みんなに会ってから」

 おお。
 ロロコ、前に比べて喋るようになったんじゃないか?

 そう言うと、ロロコはちょっと頬を膨らませて言う。

「それはそう。私も成長する。リビたんがいなくなってから、二年も経ってるんだから」

 二年……。

 ……そうか。
 とりあえず十四年とかじゃなくてよかったよ。
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