113 冒険者の皆さん

文字数 1,333文字

 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 そして人犬族のロロコ。
 さらにドワーフ嬢のアルメル。

 ついに!
 二人と合流できました!

 長かったなぁ……。
 しかし、絶海の孤島ダンジョンの本島で落ち合う予定だったんだけど。
 それより早く合流できるとは思わなかったな。

 それもあのゴーレム団子のおかげかな?

 で、そのゴーレム団子なんだけど。

「な、なんなんだこいつ!」
「くそ、手が付けられねえ!」

 落下する俺たちの下方で、騒いでいる声がする。
 どうやら、この穴の底に人がいるっぽい。
 それもそこそこの人数。
 そしてそこに、あのゴーレム団子が突っ込んでってしまったみたいなのだ。

〈なんかヤバそうだな……急ぐぞ〉

 俺は三人に言って、降下させている鎧パーツの速度を少し速めた。

 やがて、穴の底が見えてくる。

 そこでは冒険者たちがゴーレム団子と向かい合っていた。

 十人くらいかな?
 冒険者とわかったのは、全員腕輪をしていたからだ。
 俺のとは違う、新型の冒険書ですね。
 羨ましいですねー。

 それはともかく、その冒険者たちはけっこうな上級者のようだった。
 なにしろあのゴーレム団子を剣で牽制している。

『危険危険危険危険危険』

 相変わらずそう繰り返しながら、ギュイギュイ回転するゴーレム団子。
 それを冒険者たちは剣で弾いたりして近づけないようにしている。

 しかし――。

「くそっ、刃が欠けやがった!」
「当たり前だ。相手はオリハルコンだぞ」
「でもどうすんだよ。このままじゃ押し潰されるぞ」

 やっぱり苦戦してるみたいだ。

 ゴーレム団子はどんどん回転数を上げてってるっぽい。
 放っておくわけにはいかないだろう。

「な、な、な、なんなんですかあれぇ!?」

 アルメルが叫ぶが説明は後だ。
 俺はとりあえず、冒険者たちの背後に降り立つ。

 気づかれないように身体を組み立てて、と。

〈おおい、こっちこっち〉

「あ、なんだぁ?」

 ほかの冒険者に指示を出していた男が声に気付いてくれた。

〈こっちにくぼみがあります。そのゴーレム団子に気づかれないように、一人ずつ逃げてきてください〉

「おう、了解だ」

 俺の言葉に即座に頷いて、彼は仲間に指示していく。

 そして、一人、また一人とこっちに移ってきた。

「ぬお、デカっ」

 と俺を見て驚く者や、

「珍しい組み合わせのパーティだな」

 とロロコやアルメル、ラファを見て驚く者もいた。

 けど、奇異の視線で見てくる者はいなかった。

 全員が使い古した装備を身につけていて、歴戦の冒険者って感じだ。

「隊長、オッケーだ!」
「おう。了解」

 最後に残った男は頷くと、ゴーレム団子になにかを投げつけた。
 とたん、ゴーレム団子を白い煙が覆う。

「あらよっと」

 男もこっちに飛び込んできた。

「いやぁ、助かったぜ。あんたらも冒険者か?」

〈まあ、そんなところです〉

 俺たちはそれぞれ名乗った。

 男は頷くと、名乗りかえしてきた。

「俺はリザルド。この冒険者部隊の隊長をやってる」
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