208 大変動

文字数 1,084文字

 クラクラは話の途中でとんでもないことを言ってきた。

 え?
 なに?
 大陸が真っ二つに割れた?

 どういうこと!?

 早く続きが聞きたいのに、そこで話は中断することになってしまった。

「ついた」

 ロロコがそう言って示すのは、大きな建物だ。
 と言ってもさっきの宮殿ほどじゃない。

 あちこちの建物が崩れて廃墟みたいになっている帝都。
 その中で、比較的破壊を免れている建物だった。
 雰囲気としては市役所とか公民館的なものだろうか。
 もちろん日本のじゃなくて。
 ヨーロッパにある、中世からの建物を使ってますって感じのやつ。

 外れかけた玄関扉から中に入ると、玄関ホールがある。

 そこに大勢の人がいた。

 懐かしい顔ぶれもあった。

「おお、やっと復活したか」
〈ラッカムさん!〉

 ロロコの住んでいた村を統治していた領主の街で自警団長をしていた人だ。

「よお、久しぶりだな」
〈リザルドさん!〉

 絶海の孤島ダンジョンを一緒に攻略した冒険者部隊の隊長さんだ。
 リザルドさんの仲間も何人か一緒だった。

「またお会いできて嬉しいですよ」
〈ラフィオンさん!〉

 大陸南方の商業都市フィオンティアーナの大商人。

 その場にいたのは人間だけではなかった。

 右の奥にエルフがいる。
 左の奥にドワーフがいる。
 階段を登った二階にはオークもいる。
 その隣に獣耳の種族がいる。
 あそこにいるのはゴブリンたちか?

 すごいな、全種族大集合って感じじゃないか。

〈ん?〉

 ちょっと待て。
 エルフとドワーフとオークはわかる。
 これまでも一緒に戦ったりしたからな。

 けどゴブリンはモンスター扱いじゃなかったか?
 絶海の孤島ダンジョンでもめちゃくちゃ攻撃的だった。
 ラファは人間の血が混じっているから例外なのだ。

 どういうことかとロロコに問うと、

「それも大変動の影響。ゴブリンの保有する魔力が変化して、習性も変わった。自分たち以外の種族を敵対視しなくなった」

〈大変動?〉

「大陸が真っ二つに割れたこと。みんな、そう呼んでる」

 何がどうなってるんだ、それは?

〈っていうか、それも俺がやったのか……?〉

「ううん、そうじゃない。大変動を起こしたのは……」

 とロロコが言いかけたとき、

「ただいま戻りました、ロロコ殿」

 音もなく現れたのは忍び装束の……。

 ニンジャ!?
 ニンジャナンデ!

 いや、うそうそ。
 言ってみたかっただけだ。

 現れたのはヤマトの里の忍び、ヒナワだ。
 彼女はあまり、見た目は変わってないようだ。

「お久しいですな、リビタン殿」
〈うん、久しぶり〉

「ちょうどいい」

 ロロコが言ってくる。

「大変動については、ヒナワに話を聞くとわかりやすい」
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