168 天空塔ダンジョン攻略・Ⅲ

文字数 1,130文字

「ファイア!」

 ロロコの放った炎魔法が、樹のモンスターを焼き尽くす!

「ウィンドスラッシュ!」

 クラクラが剣を振って生み出した風魔法が、四肢から炎を出す犬を斬り裂く!

「ひああああああっ!」

 アルメルは金槌を振り回り、まとわりついてくるスライムを振り払う。

「とりゃああああああ!」

 ラファは義腕をふるって、トカゲのようなモンスターをぶっ飛ばす。

 ……すごいな、真っ当なファンタジー系のRPGみたいな光景だぞ。

 四人以外にも、オークたちが協力して、モンスターに対処している。

 え、俺とドグラはなにしてるかって?

 みんなに指示を出してるんですよ。

〈ロロコ、一匹右に逃げた!〉

「わかった」

 ロロコは森の中に逃げ込もうとしたモンスターを炎魔法で誘導する。

「クラクラ! 美しいぞ——じゃなくて、群れがまた出現したぞ」

「……了解!」

 ドグラはなんか余計な一言が入ってるな……。

 ともかくクラクラはその指示で位置を移動して、モンスターの一群を追い込む。

 いや、これべつにサボってるわけじゃないんですよ。

 指揮官ぶってるわけでもない。

 俺とドグラにはこの後ちゃんと役目があるのだ。

「そろそろ良いのではないか?」

〈……そうだな〉

 ドグラの言葉に俺は、モンスターたちの配置を見て頷く。

 そして決めていた合図の言葉を叫ぶ。

〈退避! みんな退避してくれ!〉

 一気に身を引くみんな。

 四人とオークたちは安全な場所に避難した。

 大量のモンスターは俺とドグラの正面にほぼ一直線上に群がっている。

 ついでにその奥には天空塔ダンジョンがそびえている。

 よーし、いくぞ!

 俺は両手を前に差し出す。

 マジカルアーマーである鎧の全身に刻まれた術式を意識。
 そこに魔力を流し、指先に集中させるイメージを描く。

 一方でドグラは人間態からドラゴン態に変身。

 それに気づいたモンスターたちが慌て出すがもう遅い。

〈発射!〉

 俺の手の先から眩い白光が放たれる。

 同時にドグラは渦巻く業火を口から吐き出す。

 グオオオオオ! と大気が渦を巻くような音が響き。
 白光と業火はモンスターの群れを呑み込んだ。

 その後には……なにも残らなかった。

 属性も相性もガン無視。
 
 二人の攻撃はその場にいたほとんど全てのモンスターを消滅させた。

 草原にはまっすぐに、草が消失して土の露出した道が出来上がっていた。

 すげえ……。

 前に撃ったときはちょっと加減してたけど、こんなに威力あるのか。

 そしてそんな攻撃がぶち当たったはずなのに。
 天空塔ダンジョンはまったくの無傷だった。

 まあ、あんな高い塔に倒れられても困るしな。

「よし、行くぞ」

 いつの間にか人間態に戻ったドグラが言ってくる。

 俺はうなずき、天空塔ダンジョンへ向けて歩き出した。
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