35 カエルを燃やすと焼き鳥味

文字数 1,618文字

 リビングアーマーの俺が、犬耳っ娘を乗せて空を飛んでいます。

 っつっても高さ1メートルくらいだけどね!
 これ以上高く飛べないんだ!

 下は毒の沼。
 まわりは大量の大ガエル。

 カエルは毒液は吐くわ、舌を伸ばして攻撃してくるわ。

 このままじゃ、二人とも溶かされる、って状況。

 けど、ちょっと対抗策を思いついたので、試してみようってところ。

 えっと、まずは。

〈ロロコ、タイミングを合わせてジャンプ、できるか〉
「だいじょうぶ」
〈よし、行くぞ。3、2、1!〉

 ぴょん。

 ロロコがジャンプしたのに合わせて、俺は身体を回転。
 今まで背中が上だったのが、腹側が上になる。

 って、まあ腹に該当するパーツは今ないんですけど。
 着地したロロコは、肩と腰パーツに立つことになる。

 よし。

 じゃあ次は……。

 まわりに、休憩中のカエルは――いた。

 俺らを追う輪から外れて、身体を覆う水魔法を解除してるやつ。
 こいつら、その水魔法の膜のおかげで、毒の沼にも平気で入ってきやがるのだ。

〈ロロコ、右前方だ!〉
「みつけた」
〈よし、いくぞ〉
「ん」

 ガシャンガシャン!
 
 俺は両腕を持ちあげて、さらに高いところに足場を作る。
 ロロコはそこに立って乗る。

 おお、すごいバランス感覚。

 ロロコは平然と構えをとる。


「ファイア!」


 ――ごう!

 火の玉が生み出され、休憩中のカエルに飛んでいく。

 ――ゲコゲコゲコ!?

 完全に不意打ちだったからだろう。
 カエルはよける間もなく炎に包まれた。

 やったぜ!

 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ。
 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ。

 俺たちを包囲してたカエルたちも、ちょっと距離をとった。
 警戒を強めたな。

 しばらくはにらみ合いが続いた。

 が――また何匹か、包囲の輪から離脱して沼から出て行く奴がいる。

 そして水魔法を解除する。

 そこを――


「ファイア!」


 ロロコの炎魔法が襲う!

 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ!

 カエルの丸焼き、2丁!

 うーん、なんか香ばしい匂いがするな。
 カエルの肉って鶏肉みたいらしいしね。
 焼き鳥を量産してるようなもんか。

「いい匂い。お腹すいた」
〈やめとけ。こいつら、毒持ちだぞ〉
「うう」

 めっちゃ残念そうだな。

 お、また離脱するカエルがいる。


「ファイア!」


 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ!


「ファイア!」


 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ!

 ここからはもう繰り返しだ。
 離脱して水魔法を解除するカエルに、ロロコが炎魔法を放つだけ。

 じゃあずっと水魔法を使ってりゃいいじゃん。
 と思うかもしれない。
 けど、そうはいかないのだ。

 カエルは皮膚呼吸をしてるからな。

 ずっと水で身体表面を覆い続けてると、酸素が足りなくなるのだ。
 それで、ときどきああして休憩してる。

 モンスターといえど、生命活動はしてるってわけだな。

 よーし、いいぞいいぞ。
 ガンガン倒してけ!

「あ」
〈ん? どうしたロロコ〉
「そろそろマズい」
〈マズい? なにが?〉
「MPが足りなくなる」
〈…………なにいいいい!〉

 いや。
 そりゃそうだ。
 魔法は魔力を消費する。
 連続で使えば、そりゃ魔力も足りなくなるよ。

 これだけの数のカエルがいるのだ。
 それを計算に入れてなかった俺が悪い。

 カエルはだいぶ減ったが、それでも20匹は残ってるか?

 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ。
 ――ゲコゲコゲコゲコゲコ。

 げ。

 こいつら、俺たちに攻撃手段がなくなったことに気づいたな。

 また包囲を狭めてきやがった。

 しかも大口を開けて、一斉に毒液を吐く構え。
 一気に仕留めるつもりだ。

 おいおい、どうするよ!?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み