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文字数 1,240文字
「次は米浜~、米浜~」
今日は夏休み前とはいえ平日なのに、この駅で降りる人はいつも多い。それには理由がある。ここには全国で一番有名なテーマパーク、『グローバルワンダーランド』があるからだ。
しかし納得いかないのは、毎日多くの人が集まるってことは、平日や何もない日でも休みの人がいるってことなんだよね。そりゃあすべての人が土日祝日しか休みじゃないってことはわかるんだけど、学生だとその感覚がないっていうか……。
でも、グローバルワンダーランドもすごい。大きなテーマパークで毎日運営しているんだから、従業員もたくさんいるんだろうな。
それに、今も中吊り広告が車内にある。『キャスト大募集』か。あんな夢と希望にあふれる楽しそうな場所で働けたら……。私は興味本位でグローバルワンダーランドのHPを見てみる。
へぇ……お給料も悪くないし、高校生から募集しているみたいだ。しかも面接を受けるだけで非売品グッズをプレゼント? これはちょっといいかも。ちょうど夏休み前だし、アルバイトを始めたいと思っていたところ。受かるかはわからないけど、面接だけでもチャレンジしてみようかな? 学校まで行く途中だから、定期も使える。好条件ばかりだ。
私は学校につくと、クラスメイトで幼なじみの雫に声をかけた。
「ねぇ、雫。夏休み一緒にバイトしない?」
「バイト? いいけど、何の?」
他の友達と雑誌を読んでいた雫だが、私の前の席に座って顔をのぞきこむ。私は先ほど見ていたHPを雫に見せた。
「へぇ、グローバルワンダーランドかぁ。でもあそこ、めっちゃ忙しいって聞くけど、大丈夫かな」
「それはいい社会経験になるんじゃないかなって思って。あとここ見て! 面接を受けるだけで非売品のグッズをプレゼントしてくれるって!」
「ふうん……」
雫も自分のスマホを使い、『GWL』で検索をかけているみたい。視線は画面を上下する。
「面白いかもしれないけど、もう少し調べてからでいいかな?」
「何か気になることでもあるの?」
「ううん、面白い記事があってさ。それ読んでからと思って。だいじょぶ、だいじょぶ! 今日中に返事はするから!」
面白い記事かぁ……。気になったけど、雫は何も教えてくれなかった。小さい頃からの付き合いだけど、たまにこうやってひとりでにやっとしてるんだよね。
まぁ聞いたところで、結構どうしようもなくてくだらないことだったりするのがオチだけど。
中学生の頃だって、マニアックでどこに需要があるのかわからない深夜ドラマにハマっていた。気になったから一緒にDVDを見たんだけど、私には意味不明だった。それに本だって。……雫は人と感覚がズレてるところがあるからなぁ。そういうところ含めて嫌いじゃないと思うほど、私たちは仲がいいというのが救い。
授業中、スマホにメッセが届いた。
『いいよ、やろう!』
私は窓際の席の雫に視線をやると、彼女はにこっと笑う。こうして私たちはグローバルワンダーランドのアルバイトの面接を受けることになった。
今日は夏休み前とはいえ平日なのに、この駅で降りる人はいつも多い。それには理由がある。ここには全国で一番有名なテーマパーク、『グローバルワンダーランド』があるからだ。
しかし納得いかないのは、毎日多くの人が集まるってことは、平日や何もない日でも休みの人がいるってことなんだよね。そりゃあすべての人が土日祝日しか休みじゃないってことはわかるんだけど、学生だとその感覚がないっていうか……。
でも、グローバルワンダーランドもすごい。大きなテーマパークで毎日運営しているんだから、従業員もたくさんいるんだろうな。
それに、今も中吊り広告が車内にある。『キャスト大募集』か。あんな夢と希望にあふれる楽しそうな場所で働けたら……。私は興味本位でグローバルワンダーランドのHPを見てみる。
へぇ……お給料も悪くないし、高校生から募集しているみたいだ。しかも面接を受けるだけで非売品グッズをプレゼント? これはちょっといいかも。ちょうど夏休み前だし、アルバイトを始めたいと思っていたところ。受かるかはわからないけど、面接だけでもチャレンジしてみようかな? 学校まで行く途中だから、定期も使える。好条件ばかりだ。
私は学校につくと、クラスメイトで幼なじみの雫に声をかけた。
「ねぇ、雫。夏休み一緒にバイトしない?」
「バイト? いいけど、何の?」
他の友達と雑誌を読んでいた雫だが、私の前の席に座って顔をのぞきこむ。私は先ほど見ていたHPを雫に見せた。
「へぇ、グローバルワンダーランドかぁ。でもあそこ、めっちゃ忙しいって聞くけど、大丈夫かな」
「それはいい社会経験になるんじゃないかなって思って。あとここ見て! 面接を受けるだけで非売品のグッズをプレゼントしてくれるって!」
「ふうん……」
雫も自分のスマホを使い、『GWL』で検索をかけているみたい。視線は画面を上下する。
「面白いかもしれないけど、もう少し調べてからでいいかな?」
「何か気になることでもあるの?」
「ううん、面白い記事があってさ。それ読んでからと思って。だいじょぶ、だいじょぶ! 今日中に返事はするから!」
面白い記事かぁ……。気になったけど、雫は何も教えてくれなかった。小さい頃からの付き合いだけど、たまにこうやってひとりでにやっとしてるんだよね。
まぁ聞いたところで、結構どうしようもなくてくだらないことだったりするのがオチだけど。
中学生の頃だって、マニアックでどこに需要があるのかわからない深夜ドラマにハマっていた。気になったから一緒にDVDを見たんだけど、私には意味不明だった。それに本だって。……雫は人と感覚がズレてるところがあるからなぁ。そういうところ含めて嫌いじゃないと思うほど、私たちは仲がいいというのが救い。
授業中、スマホにメッセが届いた。
『いいよ、やろう!』
私は窓際の席の雫に視線をやると、彼女はにこっと笑う。こうして私たちはグローバルワンダーランドのアルバイトの面接を受けることになった。