1-3
文字数 1,054文字
「ねぇ、ここいい?」
体育の次の時間。英語。
先ほどの体育でイキっていたやつが、僕の隣の席に座る。ヤバい、うざい。だからって、断るわけにはいかない。
僕は置いていたリュックサックを隣の席から移動させ、地面に置く。するとそこにヤツが座った。
「オレ、伊藤要 っていうんだ。さっきは体育でボールぶつけそうになって、ごめん」
「いいよ、別に……」
「…………」
「…………」
やっぱり自己紹介待ちだよな? 僕も名乗らないとダメだよな。はぁ。
「僕は篠宮つくもって言います」
「つくも!? へぇ、どんな字書くの?」
「色の『白』で『つくも』……です」
「珍しいね! 篠宮くんって何歳? オレと同い年くらいに見えるけど」
「17……一応、普通の高校3年と同じだよ」
「同い年じゃん! よろしくね!」
なんなんだ、このテンションの高さは。
鬱陶しい伊藤は、次の時間も僕の隣に陣取る。先ほどの体育で同じチームになった同じ年代の『友達』はできたはずだろう? なんでよりによって僕なんだ。
あまりにも鬱陶しかったので、僕は思わず伊藤の心をのぞいた。なんで『友達』は他にもいるのに、僕にくっついてくるんだ?
『篠宮くん、さっきの「アレ」なんだったんだろう?』
ガタンッ!!
「大丈夫?」
「あ、うん……」
思わず体を震わせ、イスをずらしてしまった。こいつ……さっきのテレポート見てたのか? 一瞬だったし、本当に至近距離だったから気づかれないと思ったのに。
「あのさ、友達のところ行かないの?」
面倒くさくなる前に追っ払ってしまおう。僕は何気なく先ほどのチームの仲間のところにいかないかと促す。僕のチームとは違い、こいつのいたチームは同い年で固まっていた。つまり……このスクーリングで敵視すべき陽キャ、というわけだ。
「え? 友達? ああ、さっきのチームの人たち? それよりさぁ、オレ、君と話したいと思って」
「話すって、何を……?」
ごくりと唾を飲み込む。こいつはテレポートに気づいている。まさか……。
「さっきのアレ、縮地か!?」
「……え」
目を輝かせながら身を乗り出して聞いてくる伊藤。
縮地って、よく漫画とかで出てくるアレのことか? もしかして伊藤、テレポートを『縮地』とかいう術と勘違いしてる?
「いやぁ、オレ以外にも縮地が使えるやつが学園にいるとは思わなかったよ」
「『オレ以外にも』って、君もその……使えるの? 縮地って技」
「まあな。オレ、忍者なんだよ」
「…………は?」
何を言ってるんだ、こいつは。
意味がわからずぽかんとしているうちに、授業は始まった。
体育の次の時間。英語。
先ほどの体育でイキっていたやつが、僕の隣の席に座る。ヤバい、うざい。だからって、断るわけにはいかない。
僕は置いていたリュックサックを隣の席から移動させ、地面に置く。するとそこにヤツが座った。
「オレ、
「いいよ、別に……」
「…………」
「…………」
やっぱり自己紹介待ちだよな? 僕も名乗らないとダメだよな。はぁ。
「僕は篠宮つくもって言います」
「つくも!? へぇ、どんな字書くの?」
「色の『白』で『つくも』……です」
「珍しいね! 篠宮くんって何歳? オレと同い年くらいに見えるけど」
「17……一応、普通の高校3年と同じだよ」
「同い年じゃん! よろしくね!」
なんなんだ、このテンションの高さは。
鬱陶しい伊藤は、次の時間も僕の隣に陣取る。先ほどの体育で同じチームになった同じ年代の『友達』はできたはずだろう? なんでよりによって僕なんだ。
あまりにも鬱陶しかったので、僕は思わず伊藤の心をのぞいた。なんで『友達』は他にもいるのに、僕にくっついてくるんだ?
『篠宮くん、さっきの「アレ」なんだったんだろう?』
ガタンッ!!
「大丈夫?」
「あ、うん……」
思わず体を震わせ、イスをずらしてしまった。こいつ……さっきのテレポート見てたのか? 一瞬だったし、本当に至近距離だったから気づかれないと思ったのに。
「あのさ、友達のところ行かないの?」
面倒くさくなる前に追っ払ってしまおう。僕は何気なく先ほどのチームの仲間のところにいかないかと促す。僕のチームとは違い、こいつのいたチームは同い年で固まっていた。つまり……このスクーリングで敵視すべき陽キャ、というわけだ。
「え? 友達? ああ、さっきのチームの人たち? それよりさぁ、オレ、君と話したいと思って」
「話すって、何を……?」
ごくりと唾を飲み込む。こいつはテレポートに気づいている。まさか……。
「さっきのアレ、縮地か!?」
「……え」
目を輝かせながら身を乗り出して聞いてくる伊藤。
縮地って、よく漫画とかで出てくるアレのことか? もしかして伊藤、テレポートを『縮地』とかいう術と勘違いしてる?
「いやぁ、オレ以外にも縮地が使えるやつが学園にいるとは思わなかったよ」
「『オレ以外にも』って、君もその……使えるの? 縮地って技」
「まあな。オレ、忍者なんだよ」
「…………は?」
何を言ってるんだ、こいつは。
意味がわからずぽかんとしているうちに、授業は始まった。