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文字数 1,139文字

 思えば遊び心でEPIC社のシステムをハッキングして、ユウキサンに命乞いして借金を背負うことになってから、ずーっと働きっぱなしだったなぁ。GWLで遊びたい! っていう当初のヒネクレた思いからはかけ離れて、どす黒い商売に手を染めて、どんどん夢も見られなくなっていって……。

 人が死ぬことだっていつの間にか平気になって行って。いや、最初の就職試験からだから、慣れっこだったけどね。アンダーベースの動画とかも他人のお金で見ていたし。だけど、それを管理する側になったら、本当にGWLなんかに夢見られないよ……。

 やだな、もしかしてボク、リズに触発されちゃってる? 怖いな、彼女。茶色い瞳が何もかも見透かしているみたいで。ツクモの超能力なんかより、得体がしれない。

「それで? キャットさん。これからどうするんですか?」
「あ、ああ! 今日はアンダーベースの見学する予定。その生贄がリズってわけ」
「アンダーベース?」
「え、ふたりとも事前に話は聞いてないの?」
「全然」

 ツクモとカナメが首を振る。えー……マジ? 何も聞いていない? イチから説明すんの!? もう、ユウキサンめ!! 面倒くさっ……。これだから、ボクは過労死するんだよ!! 本当に人使い荒すぎるんだから!!

「あの、アンダーべースの生贄って何? そこで私、殺されるの?」
「リズは自分の未来は見られないの?」
「うん……触れた人の不特定な先しか見られない」
「ふうん……力は安定してないんだ」
「ツクモ、力の出し方とかわかるの?」
「超能力ならわかるけど、未来予知能力はちょっと。分野外です」

 だったら口出しするな。リズをあっさり殺しちゃってもいいけど、特殊能力持ちだし、研究したいっていう気持ちもあるんだよなぁ……。どうするかな。

 そうだっ!!

「これから行く場所は、ミライゾーンの隣に新しく作られた、『サイバーガーデン』だよ」

 ユウキサンとヒロアキサンに働き殺されるんだったら、ボクも最期の思い出、作っていいよね?

 ボクは童話に出てくる猫みたいにニヤッと笑った。

「サイバーガーデンに行く前に、ちょっと寄り道するけど、いいよね?」
「え?」

 3人は声をそろえる。行く場所は……カフェ・ド・ラックの横のお土産屋さんだ。

「リズはボクがコーデしたけど、今日のふたりは何!? 天下のGWLだよ? 正装じゃないじゃん!」
「正装? GWLにドレスコードなんてあるんですか?」
「遊園地に正装も何もないと思うんだけど……それに、キャットなんてスーツじゃん……」
「うるさい、うるさーい! ともかく着替えとカチューシャ!!」
「えぇ……」

 ツクモとカナメは困惑する。
 もう、ここまで来たら関係ないもんね~だ。ボクの好き勝手にやらせてもらうよ、ユウキサン、ヒロアキサン。
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