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文字数 1,400文字
画面の中には、スーツを着た女性が映っている。映っているといっても、口から下だけ。顔はわからない。
『えーっと、アクター希望のみんな、ちっす、ちっす! ボク……いや、アタシは【Ms.EPIC】とでも呼んで。まぁなんでもいいんだけどさ』
「アクター希望? やっぱり私たち、日にちを間違えられたのかな?」
私が雫につぶやくと、タイミングよくMs.EPICは否定した。
「あー、ちなみにショップとか清掃員希望したみんなも今日は呼んだから、間違いじゃないよ。キミたちも『アクター』として働いてもらうつもりだから、よろ!」
「あ、アクターなんて無理だよ!!」
「あたしも踊ったりはできない……」
「僕もだよ。困ったなぁ」
「……じゃあ辞退する」
他の仕事を希望したみんなもうろたえる。しかしMs.EPICは大きな声をパソコンの画面越しに上げる。
『あーちょいちょい! 辞退っつっても、もうできないからね~? キミたちの周りにはEPIC社員がたくさんいる。逃げられないし、逃がさないよ~?』
「な、なんで……たったいちバイトだろう?」
シュウヘイさんの顔色が変わる。私たちもだ。逃げられない? ……どういうこと?
『いちバイトでも、初日……いや研修で逃げられるのは困る。逃げるなら、研修を終えてからにしてよ。それなら文句は言わない』
「なんか命令ばっかで気に食わない! なによ、Ms.EPICって!」
「あかりちゃん、怒らないで」
アクター希望のあかりさんも不満気だが、ショップや清掃員希望の私たちも逃げられないって……。
「なんか嫌な予感がする……」
不安に思っていると、雫が私の手を握ってくれる。
「……まぁ、研修を終えたらばっくれてもいいって言ってるんだから、だいじょぶだよ!」
だいじょぶ……本当にそうなのかな?
パソコンのMs.EPICは陽気な声で続ける。
『とりあえず! 今日からみんなはアクターとして研修をしてもらうからね! ってことで、園内ウォークラリーをしてもらいまーす! これでアトラクションや売店の位置を頭に叩き込んでもらうってこと。アクターとして働けないっていうのでも、研修だけは受けてもらうからね! そのあと辞退するなら文句は言わない』
「研修だけでも、か。それならシュウヘイくんも文句はないよね?」
「……」
駆さんがシュウヘイさんにたずねるが、彼は不満なのか返答なし。むすっとしている。
雫と私も視線で会話する。辞退もOKなら、一日くらいはいいか。私たちはお互いうなずいてみせた。
「でも、アトラクションや売店の位置なんてアクターには関係ないじゃない! こんな暑い中、なんでウォークラリーなんか!」
『わかってないなぁ~……アクターはパレードにも出るでしょ? 道順わかってなくてどうすんのさ! それに、アクターたちはこの炎天下で踊り続けるんだよ。暑いときに研修しなくていつするの!』
Ms.EPICにつっこまれたあかりさんは口を塞ぐ。
つまりアクターは、園内のことはよく知っておかないといけないってことなのか……。
『わかった? っつーことで、第1問!』
え、クイズ!? いきなり始まったそれに、私はごくりと唾を飲みこむ。他のメンバーも真剣にパソコンを見つめる。
『最初のチェックポイントだからね? 開園当初からあるお店で、園内で唯一ガムが売っている店! ここの店でそのガムを買って、アタシに見せて。それじゃ、スタートッ!』
『えーっと、アクター希望のみんな、ちっす、ちっす! ボク……いや、アタシは【Ms.EPIC】とでも呼んで。まぁなんでもいいんだけどさ』
「アクター希望? やっぱり私たち、日にちを間違えられたのかな?」
私が雫につぶやくと、タイミングよくMs.EPICは否定した。
「あー、ちなみにショップとか清掃員希望したみんなも今日は呼んだから、間違いじゃないよ。キミたちも『アクター』として働いてもらうつもりだから、よろ!」
「あ、アクターなんて無理だよ!!」
「あたしも踊ったりはできない……」
「僕もだよ。困ったなぁ」
「……じゃあ辞退する」
他の仕事を希望したみんなもうろたえる。しかしMs.EPICは大きな声をパソコンの画面越しに上げる。
『あーちょいちょい! 辞退っつっても、もうできないからね~? キミたちの周りにはEPIC社員がたくさんいる。逃げられないし、逃がさないよ~?』
「な、なんで……たったいちバイトだろう?」
シュウヘイさんの顔色が変わる。私たちもだ。逃げられない? ……どういうこと?
『いちバイトでも、初日……いや研修で逃げられるのは困る。逃げるなら、研修を終えてからにしてよ。それなら文句は言わない』
「なんか命令ばっかで気に食わない! なによ、Ms.EPICって!」
「あかりちゃん、怒らないで」
アクター希望のあかりさんも不満気だが、ショップや清掃員希望の私たちも逃げられないって……。
「なんか嫌な予感がする……」
不安に思っていると、雫が私の手を握ってくれる。
「……まぁ、研修を終えたらばっくれてもいいって言ってるんだから、だいじょぶだよ!」
だいじょぶ……本当にそうなのかな?
パソコンのMs.EPICは陽気な声で続ける。
『とりあえず! 今日からみんなはアクターとして研修をしてもらうからね! ってことで、園内ウォークラリーをしてもらいまーす! これでアトラクションや売店の位置を頭に叩き込んでもらうってこと。アクターとして働けないっていうのでも、研修だけは受けてもらうからね! そのあと辞退するなら文句は言わない』
「研修だけでも、か。それならシュウヘイくんも文句はないよね?」
「……」
駆さんがシュウヘイさんにたずねるが、彼は不満なのか返答なし。むすっとしている。
雫と私も視線で会話する。辞退もOKなら、一日くらいはいいか。私たちはお互いうなずいてみせた。
「でも、アトラクションや売店の位置なんてアクターには関係ないじゃない! こんな暑い中、なんでウォークラリーなんか!」
『わかってないなぁ~……アクターはパレードにも出るでしょ? 道順わかってなくてどうすんのさ! それに、アクターたちはこの炎天下で踊り続けるんだよ。暑いときに研修しなくていつするの!』
Ms.EPICにつっこまれたあかりさんは口を塞ぐ。
つまりアクターは、園内のことはよく知っておかないといけないってことなのか……。
『わかった? っつーことで、第1問!』
え、クイズ!? いきなり始まったそれに、私はごくりと唾を飲みこむ。他のメンバーも真剣にパソコンを見つめる。
『最初のチェックポイントだからね? 開園当初からあるお店で、園内で唯一ガムが売っている店! ここの店でそのガムを買って、アタシに見せて。それじゃ、スタートッ!』