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文字数 706文字

「刺激的じゃない? 普通の仕事だったら味わえないスリルを感じることができる、唯一の職場がここ、EPICだ」

「……そうか」

「それで? なってくれるの? オレの右腕。なってくれるなら、さっそく雑務から始めてもらおうか?」

「さっそくって……面接が終わったばっかりだぞ!? それに俺はまだ返事を……」

「オレがいいって言ってるんだから、いいんだよ。それよりもさっそく後片付けにいってくれる?」

ユウキが俺に渡したのは、2丁の拳銃だった。これをどうしろっていうんだ?

「……わかってるでしょ? 御堂孝之助、カトリーヌ・マリア・戸叶、奉りえかをこれで始末してきて。人を殺す練習にもなるでしょ?」

「っ!」

ユウキはにこにこ笑顔を浮かべたまま、俺に命令を下す。

「オレに逆らったら、ヒロアキ、あの世行きかもね? 歯向かわない方がいいよ」
「お前は親友にこんなことをさせるのか!?」
「親友なんて、オレ、言ったっけ?」

その言葉に俺は呆然とする。ユウキは俺を親友と思っていない。つまり――。

「使い勝手のいい駒ってことか」
「早く行ってきてよ、ヒロアキ」

俺は首を振り、宣言した。

「ユウキとは一緒にやれない。俺には荷が重すぎる。できないよ。人を殺したり、犯罪に手を貸すことはさ。今日の面接だって、夢だったらよかったなんてずっと考えてたくらいだしな」

「ヒロアキ……」

「お前とはまた違った形で再会したかったよ、ユウキ。俺はお前のこと、親友だと思ってたからさ」

「……瑞希」
「はい」

瑞希さんが後ろから俺に薬を嗅がせる。
だんだん記憶がなくなってくる。そのとき小さく聞こえた声――。

「オレだって、違った形で会いたかった。もう一生会えないんだな。さよなら、ヒロアキ」
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