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文字数 1,009文字

「このあとどうすっかな……全員と合流しろって言われても、何のヒントも与えられてない」

無理ゲー上等なスタートだったが、ここまでの無茶振りはひどすぎる。

ともかく俺は近くに出ていた屋台でペットボトルの水を5本買うと、それを飲みながらどうしようかと考えていた。

このだだっ広いテーマパークで、選び抜かれた8人を見つける。俺を含めると計9人か。

「そもそもここって何人収容できるんだ? ま、面接で来てるヤツも同じ課題が出てるって言ってたし、アトラクションで遊んでるとは思えないけど……」

ともかく園内を探していれば見つかるかもしれない。
しかし、この混雑した中から8人を見つけるのは至難の業だ。

……そうだ。ここのスタッフなら、もしかしたら何か知ってるかもしれない。
こういった面接だって、俺以外に受けてる人もいるだろう。初めてな訳がない。
とりあえず、誰かスタッフに聞いてみようか?

「すみません。EPIC社の面接に来たのですが……」

俺は近くにいたアトラクションのスタッフに声をかける。

「こちらのアトラクションは、現在180分待ちです!」
「いや、そうじゃなくて、EPIC社の面接で……」
「EPIC社、ですか?」

スタッフは怪訝な顔をしたが、また一瞬で笑顔に戻る。

「お並びになるようでしたら、あちらへどうぞ!」

こりゃ困ったな。

「どうやって面接を受ける人間を探せってんだ……」

こうやって足を止めて考えてるだけで、滝のような汗が流れる。
やっぱり黒いスーツなんて着てるからかな……。

「ん? スーツ……そうだ! スーツだっ!」

俺が大声を出すと、近くにいたガキがこっちを訝しげに見た。
だが、そんなの関係ない。

俺は気づいたのだ。面接に来る人間なら、きっとスーツを着ているだろうということに!

朝、チケットブースの前で並んでいるだけで、スーツを着た俺はリア充たちの注目の的だった。
ってことは、スーツを着てる人間はこの中では確実に目立つ。

そりゃそうだろう。キャラクターグッズのひとつである、イカれたフードつきタオルをかぶって浮足立ってるヤツらの中に、堅苦しいスーツの人間がいたら嫌でも目につくはずだ。

男か女かはわからない。けど、確実に俺以外にもスーツの人間はいる!

ヒントを得た俺は、少しだけやる気が出た。

とりあえずひとりでもいい。この園内で俺以外にスーツを着ている『脳内お花畑野郎が集まる場にそぐわない』やつを見つけ出す!

俺はさっそくきょろきょろと辺りを見回した。
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