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文字数 1,387文字

「どうだったよ~? 初面接!」

 帰り、私たちはせっかくこのテーマパークのある駅に下りたんだからと、お昼を近くで取ることにしていた。

 選んだお店はフレンチでもイタリアンでもない。地元にもあるチェーン店のカフェだ。

「結局私たち、いつもここだよね」
「お金ないんだから文句言わないの!」

 私が愚痴をこぼすと、雫はすぐにフォローしてくれる。私はそんな彼女に救われているのだ。

「それより! どうだった? 感想!」
「うーん、微妙……ううん、正直失敗したと思う」

 素直に雫に告白する。最初はいい雰囲気だったけど、それがあまりにも普通すぎてまずいと思ったこと。それがプレッシャーとなり、墓穴を掘ってしまったこと。雫の足を引っ張ったんじゃないかとつぶやくと、彼女は笑った。

「いーの、いーの! あたしはさ、ミフユが受からなかったらバイトするつもりなかったし? 今はお小遣いでなんとかして~、大学入ったら適当にやろっかなって。今日の面接だって超気楽に受けてたんだから」

「もう、雫は私に気をつかいすぎだよ……」

「え~? そんなことないけど? むしろ一番気を許してるから、テキトーになっちゃってゴメン! くらい思ってるのに」

 カフェで売っている2種類のサンドイッチをふたりで半分ずつ食べると、自然と笑みになる。この笑みが面接でも出ればよかったんだけどなぁ……。

 やっぱり雫は親友だ。小さい頃からずっと一緒の。彼女がいてくれてよかった。これからもふたりで仲良くしていきたい――そう感じたひとときだった。

 面接から数日が過ぎた。採用する場合は、電話かメールをくれるっていってたっけ。でも、私たちの元にはまだその連絡が来ていなかった。もうすぐ夏休みに入ってしまうというのに。

「あれって落ちた場合も連絡くれるの?」

 雫は先日試食したグローバルワンダーランドのお土産用お菓子をぽりぽり食べていた。どうやら味が気に入ったらしく、先日最寄りの駅で降り、わざわざ買って来たらしい。私にも箱を差し出すと、手を入れて一袋取り出す。

「多分、不採用でもくれると思う。これだけ待ってこないんじゃ、やっぱり落ちたのかなぁ」

 私がまたがっくりと肩を落とすと、優しく頭をなでてくれる。

「あー、ミフユは心配しすぎだって! でも、採用でも不採用でも、連絡来ないのはおかしいよね。ちょっとフリーメール確認してみるわ。テスト赤点でパソコン禁止されてたからさぁ」

 スマホをいじると、雫はメールを確認する。そう言えばあまりパソコンって触らないから、チェックしてなかったな。

 雫はしばらくスマホをスライドさせると、私に画面を見せた。

「こ、これっ! 受かってた!!」

 メールの送信日は3日前だ。雫はすぐに返信用のメールを作成する。

 もしかしたら、私もラッキーで受かってたりしないかな……? 自分も急いでメールを確認する。すると……。

「あ、あった! あったよ、雫!」
「ふふっ、これであたしら夏休みはずっと一緒だね!」

 雫と一緒に夢みたいな場所、グローバルワンダーランドでアルバイトかぁ……。
 大変かもしれないけど、今からわくわくする。
 メールには研修の日程が書かれていた。

 ――7月31日に、グローバルワンダーランド内で実地研修。

 バイトの研修って何をするのかわからないけど、楽しみだ。私たちは視線を合わせると、どちらとでもなく自然と笑顔を見せあった。
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