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文字数 1,267文字

「……面接まで少し日にちが空いてるな。ここは一応、会社のことを調べておくべきなのか? 会社研究っての、しといた方がいいよな……てか、よくこの面接の案内を読んでみたら、面接会場『本社』って……どこだよ!」

相手は、『夢と希望と幻』を売り物にしている得体のしれないテーマパーク会社だ。
グローバルワンダーランドのHPを見たところで、EPIC社の名前すら出ていない。
じゃあ、どうして俺がEPIC社を知っているかということになると思うが、大人になれば
嫌でも気づく。

お土産やグッズの裏に小さく書かれている販売社表示。そこにはグローバルワンダーランド独自の、筆記体で書かれたお洒落な『GWL』マークではなく、『EPIC』の文字がある。
大抵の大人は、そこで察しがつくと思う。
『ああ、運営はEPIC社ってことなんだろう』と。

そういう訳で、普通にグローバルワンダーランドのHPをじっと見ていても時間の無駄だ。
俺が面接を受けるのはEPIC社。グローバルワンダーランドではない。

「えーと、本社はどこに所在してるんだ?」

検索のキーワードに、『EPIC 本社』と入力する。

「……は!? これ、間違いじゃないよな!?」

出てきた検索結果からページを開いてみると、驚くべきことが書かれていた。

『EPIC.JP address:Global Wander Land JAPAN』

「ちょ、待て! これって、グローバルワンダーランドに本社があるって意味か!?」

EPIC社のHPに、本社のアドレスらしきものはこれしか載っていない。

「ありえないだろ……いや、むしろ本社がテーマパーク内にあったほうが、経営するにあたって好都合なのか? でも西にあるテーマパークも、遊園地の中に本社があるって聞くからな。ともかく他に拾える情報は……」

HPの隅から隅まで目を通す。
そこからわかったことは、様々な分野のプロフェッショナルやクリエイターたちがこの会社に集まっているということ。そして社長は御年70歳を超えているらしいアメリカ人ということだ。

「うーん、人事とか採用情報は全く載せてないんだな。なんて就活に不便なページだ」

再度、面接のお知らせを確認する。

「ちっ! よく見たら面接時間も書いてねぇじゃねーか! これ、なんて無理ゲーだよ!!」

こうなったら7月31日、朝一番でグローバルワンダーランドへ行くしかない。

……最っ悪。
最悪だっ!! 悪夢だっ!!
夏休みのグローバルワンダーランド? はぁ? 何それ、おいしいの?
おいしいどころか吐き気がするわっ!!
いるのは夏休みで浮かれたうるさいガキども。
それか同じく浮かれたリア充どもだ!!
どっちにしろ、俺の敵であることに変わりはない。
しかも、こっちは面接だ。浮かれ果てた野郎どもを尻目に、何が悲しくてリクルートスーツ着こんでいくんだよ!!

「……はぁぁぁぁっ!!!」

俺は思わずマリアナ海溝よりも深いため息をついたあと、時計を見た。

……まだ店は開いてるな。

「リクルートスーツ、買ってこねぇと」

のっそりと立ち上がり、財布と鍵だけを持って、俺は部屋を抜け出した。
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