2-13
文字数 1,604文字
また生贄を出さないといけないのか。辞退はできない。
今の状況……ミスターEPICのいう通り『学歴を参考に』して『人を選ぶ』のならば、ミホさんしかいないだろう。りえかさんもどうかとは思うけど、ミホさんは人を貶めることしか考えていなかったから。
それに、話によればどこでもそういう風に人をコケにして、責めていたっていうじゃないか。りえかさんの言葉を全部信じているわけじゃないけど、初めからの彼女の態度を見れば、それが真実と疑うこともないだろう。
それでも罪悪感がないわけがない。俺は目をつぶって手を挙げる。
『……ははっ、決まりだね☆』
ミスターEPICの声で目をゆっくり開く。
すると、ミホさん以外の全員が手を挙げていた。
「う……そ……なんで……」
「なんで? ふふっ、あなた自身が撒いた種ですよ?」
りえかさんはにっこりと笑みを浮かべる。……怖い。
「何もできない、何も言えない人間を罵倒した罰……かもしれませんね?」
「りえかあああっ!!!」
ミホさんの平手打ちを食らいそうになったりえかさんだが、余裕でその腕と止める。
「弱い。本当に弱いですね。ああ! 弱いからよく吠えるのかぁ。勝てないと思ったら暴力というのもとっても安直。その通販のスーツも、話し方も、生き方も……あなた自身が安物なんでしょうね。残念ですけど」
「……っ」
俺はりえかさんの冷徹な言葉に、思わず息を飲んだ。ミホさんは顔を真っ赤にしているが、りえかさんの力には勝てないらしい。それなのにずっとにこにこ笑っているりえかさんにも恐怖を覚える。
しばらくすると、例の男たちがバーへ入ってくる。
「いやあああっ!! あたしは死にたくないのっ!! 死ねないのよっ!!」
ミホさんは男たちに担がれると、バーの外へと出された。
りえかさんはそれをうっとりとした目で見つめていた。
ミホさんが連れて行かれてから数十分。
画面には横になって首を固定されているミホさんがいる。
「んんっ! んん~っ!!」
口には猿ぐつわをしているらしく、声になっていない。それでも彼女の目は、カメラ越しの俺たちに向かって助けを求めている。
「くっ……! 俺たちに何ができるっていうんだよっ!!」
「彼女が死ぬのを見届けるだけですよ。ふふっ、どんな殺され方をするのかなぁ? とっても楽しみです」
「り、りえかさん……?」
うきうきしながら画面を見つめる彼女に、俺はぞくっとした。キャットも同じ気持ちだったみたいで、かなり引いている。御堂にいたっては不快そうに眉間にしわをよせていた。
そんな中で瑞希さんだけは冷静にコーヒーを淹れていた。
また人が死ぬというのに……!
いや、だからこそなのかもしれない。コーヒーを淹れることで、人の死から目を背けようとしているのかもわからない。
「瑞希さん、俺にもいただけますか?」
「ええ」
マグカップにコーヒーを注いでもらう。画面の方はできるだけ見ないように……そう思っていた。
だが、画面から聞こえてくる大きな金属音が、嫌でも俺の視線を向けさせた。
「うっわ……これは見てられないよ~!!」
今まで何事にも動じなかったキャットが、手で目を覆う。
御堂も苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
そりゃそうだ。男たちの持っているのはチェーンソー。
刃がぐるぐると回る音が部屋に響く。
「んんんっ!!! んんんっ~!!」
だんだんとミホさんの首筋へと、それは近づいていく。
チッ、と首の皮をかすめただけで、血が噴き出す。
男たちは血まみれになりながら、ミホさんの首をチェーンソーにかける。
断末魔とチェーンソーの金属音は、耳を塞いでも聞こえてきた。
しばらくして、やっと静かになったと思ったら、ミホさんの頭は見事に床へと落ちていた。
目はカメラをむいているせいか、俺たちを憎しむような表情だった。
「アハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
そんなショッキングな事態を目の当たりにしたというのに、りえかさんはイカレたように大笑いしていた。
今の状況……ミスターEPICのいう通り『学歴を参考に』して『人を選ぶ』のならば、ミホさんしかいないだろう。りえかさんもどうかとは思うけど、ミホさんは人を貶めることしか考えていなかったから。
それに、話によればどこでもそういう風に人をコケにして、責めていたっていうじゃないか。りえかさんの言葉を全部信じているわけじゃないけど、初めからの彼女の態度を見れば、それが真実と疑うこともないだろう。
それでも罪悪感がないわけがない。俺は目をつぶって手を挙げる。
『……ははっ、決まりだね☆』
ミスターEPICの声で目をゆっくり開く。
すると、ミホさん以外の全員が手を挙げていた。
「う……そ……なんで……」
「なんで? ふふっ、あなた自身が撒いた種ですよ?」
りえかさんはにっこりと笑みを浮かべる。……怖い。
「何もできない、何も言えない人間を罵倒した罰……かもしれませんね?」
「りえかあああっ!!!」
ミホさんの平手打ちを食らいそうになったりえかさんだが、余裕でその腕と止める。
「弱い。本当に弱いですね。ああ! 弱いからよく吠えるのかぁ。勝てないと思ったら暴力というのもとっても安直。その通販のスーツも、話し方も、生き方も……あなた自身が安物なんでしょうね。残念ですけど」
「……っ」
俺はりえかさんの冷徹な言葉に、思わず息を飲んだ。ミホさんは顔を真っ赤にしているが、りえかさんの力には勝てないらしい。それなのにずっとにこにこ笑っているりえかさんにも恐怖を覚える。
しばらくすると、例の男たちがバーへ入ってくる。
「いやあああっ!! あたしは死にたくないのっ!! 死ねないのよっ!!」
ミホさんは男たちに担がれると、バーの外へと出された。
りえかさんはそれをうっとりとした目で見つめていた。
ミホさんが連れて行かれてから数十分。
画面には横になって首を固定されているミホさんがいる。
「んんっ! んん~っ!!」
口には猿ぐつわをしているらしく、声になっていない。それでも彼女の目は、カメラ越しの俺たちに向かって助けを求めている。
「くっ……! 俺たちに何ができるっていうんだよっ!!」
「彼女が死ぬのを見届けるだけですよ。ふふっ、どんな殺され方をするのかなぁ? とっても楽しみです」
「り、りえかさん……?」
うきうきしながら画面を見つめる彼女に、俺はぞくっとした。キャットも同じ気持ちだったみたいで、かなり引いている。御堂にいたっては不快そうに眉間にしわをよせていた。
そんな中で瑞希さんだけは冷静にコーヒーを淹れていた。
また人が死ぬというのに……!
いや、だからこそなのかもしれない。コーヒーを淹れることで、人の死から目を背けようとしているのかもわからない。
「瑞希さん、俺にもいただけますか?」
「ええ」
マグカップにコーヒーを注いでもらう。画面の方はできるだけ見ないように……そう思っていた。
だが、画面から聞こえてくる大きな金属音が、嫌でも俺の視線を向けさせた。
「うっわ……これは見てられないよ~!!」
今まで何事にも動じなかったキャットが、手で目を覆う。
御堂も苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
そりゃそうだ。男たちの持っているのはチェーンソー。
刃がぐるぐると回る音が部屋に響く。
「んんんっ!!! んんんっ~!!」
だんだんとミホさんの首筋へと、それは近づいていく。
チッ、と首の皮をかすめただけで、血が噴き出す。
男たちは血まみれになりながら、ミホさんの首をチェーンソーにかける。
断末魔とチェーンソーの金属音は、耳を塞いでも聞こえてきた。
しばらくして、やっと静かになったと思ったら、ミホさんの頭は見事に床へと落ちていた。
目はカメラをむいているせいか、俺たちを憎しむような表情だった。
「アハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
そんなショッキングな事態を目の当たりにしたというのに、りえかさんはイカレたように大笑いしていた。